露伴先生を見比べる
「これが新年号の作者様集合写真の露伴先生」
「おい、紙面であろうとこのぼくを指差すな」
「そして、これがモノホンの露伴先生」
「どっから出したんだ、その鏡」
「お分かり頂けるだろうか?この違いが…」
「ハァ〜?どっからどう見ても同じ顔じゃあないか。というか、さっきからなんなんだ、その下手な芝居がかった喋り方は。そこはかとなく腹立たしい」
「ちがーう!見て下さい、この写真の爽やかな笑顔!誰ですか、双子のご兄弟ですか?是非紹介して下さい!」
「なんだこいつ…」
「率直過ぎる本音が声と表情でだだ漏れです先生ッ!」
「隠そうとも思ってないからな、仕方ないさ。…で?」
「え…、で?って…?」
「なまえはその写真に写っている、文字通り薄っぺらい上辺だけの“露伴先生”が好みだって言いたいのか。今、目の前にいるこのぼくよりも」
「…、そ、そういうわけじゃあ、ない…けど、」
「けど?はっきり言えよ」
「先生は薄っぺらい、上辺だけって言いましたけど…でも、この表情は『笑って』って言われて適当に作った表情じゃあないですよね。…読んでくれてる人たちのことを思って、そうしてできた表情なんじゃあないですか」
「…キミにそう見えるんなら、そうかもしれないな」
「う、羨ましいって思ったっていいじゃないですか!不特定多数かもしれないけれど、それでもこんな表情、わたしには見せてくれないし、」
「なまえって結構頭悪いよな」
「な…っ!?なんですか、それっ?!」
「キミが自分で言ったんだぜ。『読んでくれてる人たちのことを思って、そうしてできた表情』だって。だったら、ぼくの一番近くにいる“読者”のことを最初に考えたに決まってるだろ」
「一番、近くにいる…」
「別に、誰とは言わないけどな」
「せ…せんせえええええっ!」
キミはそれ以外の表情を沢山知っているくせに。
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