承太郎と初日の出
◇エジプト。
「あれ、承太郎…?」
「よお。早いな」
「え、うん…承太郎こそ早いね。どうしたの?もしかして眠れてないとか…?」
「いいや、そうじゃねえ。一応、初日の出ってやつを拝んでおこうと思っただけだぜ」
「そっか、良かった。…実はわたしも、同じこと考えて早起きしたんだ」
「そうか」
「日本は晴れたかなぁ。結構元旦は曇ってたり、天気悪いこと多いよね」
「確かに、そうかもしれねえな」
「…承太郎は、毎年初詣とか行ってた?」
「前は行ってたが…ここ2年くらい行ってねえな」
「そうなんだ。人多いしねえ」
「…そういうお前はどうなんだよ」
「わたし?わたしは毎年行ってたよ。お参りして、それで甘酒飲んで帰るのが恒例」
「くくっ、甘酒目当てか」
「ち、違うよ失礼な…っ!」
「今年は残念だったな、甘酒が飲めなくて」
「だから違うって。…まぁ、無事に日本へ帰れたらお参りには行くつもり」
「…それなら、今年はおれも行くとするか」
「あ、じゃあさ、一緒に行こうよ。せっかくだし」
「…そうだな」
「約束だよ、承太郎」
「ああ、約束は守らねえとな」
ゆっくりと日は昇る。
- 31/68 -
前ページ/次ページ
一覧へ
トップページへ