承太郎と初日の出


◇エジプト。

「あれ、承太郎…?」

「よお。早いな」

「え、うん…承太郎こそ早いね。どうしたの?もしかして眠れてないとか…?」

「いいや、そうじゃねえ。一応、初日の出ってやつを拝んでおこうと思っただけだぜ」

「そっか、良かった。…実はわたしも、同じこと考えて早起きしたんだ」

「そうか」

「日本は晴れたかなぁ。結構元旦は曇ってたり、天気悪いこと多いよね」

「確かに、そうかもしれねえな」

「…承太郎は、毎年初詣とか行ってた?」

「前は行ってたが…ここ2年くらい行ってねえな」

「そうなんだ。人多いしねえ」

「…そういうお前はどうなんだよ」

「わたし?わたしは毎年行ってたよ。お参りして、それで甘酒飲んで帰るのが恒例」

「くくっ、甘酒目当てか」

「ち、違うよ失礼な…っ!」

「今年は残念だったな、甘酒が飲めなくて」

「だから違うって。…まぁ、無事に日本へ帰れたらお参りには行くつもり」

「…それなら、今年はおれも行くとするか」

「あ、じゃあさ、一緒に行こうよ。せっかくだし」

「…そうだな」

「約束だよ、承太郎」

「ああ、約束は守らねえとな」


ゆっくりと日は昇る。




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