エピローグB
朝日の眩しさに目が覚めた。
なんだかいつもより随分と良く眠れたような気がする。
何故か、いつも心の何処かに潜んでいるドロドロした何かがすっと綺麗になったような…そんな身軽さがある。
「…なんだ、これ…」
不思議な感覚に浸りながら上体を起こすと、自分の手にポタポタと水が落ちてきた。
一瞬なんだか全く分からなかったが、それは自分の目から出ていることに気が付く。
頬を伝い、顎から落ちていく。次から次へと。
どうして僕は泣いているんだ。
何処かが痛いわけでもない。
苦しいわけでも、多分…悲しいわけでもない。
むしろ清々しい気持ちなんだ。
なにか、とてもいい夢を見ていた気がするんだ。
涙腺がおかしくなってしまったのかと焦ったけれど、この現象は5分もしない内に治まった。
目元をティッシュで拭いていると、いつの間にかハイエロファントグリーンが僕の隣に立っていて、じっと僕を見ていた。
「…お前、そんなに小さかったかな」
こいつが勝手に出てくること自体不思議だけれど、今日の僕はどうかしているんだろう。
驚くどころか、こいつを見て安心しているんだ。
嫌いになったこともある、このキラキラした緑色の半身に。
妙に落ち着いた気分でハイエロファントの頭をぽんぽんと軽く叩けば、不思議そうに首を傾げた。
何処か、遠く。別の世界へでも行ってしまえたらいいのに。なんて、昔から何度となくそう考えたことがある。
けれど、本当になんでかな。
今僕は、この世界で生きていくことを受け入れている。
この広い世界で生きていけば、きっと重大な出逢いがある。
なんて、そんな不確かな想いがある。
神のお告げでも受けたのかな、僕は。
メルヘンだとか、ファンタジーだとかみたいな…ひどく曖昧なものだけれど、その諦めにも似た希望は、まるで朝日のように温かく、胸の内へ確かに根付いていた。
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