キッドの頭と気候の変化
「最近朝晩は冷えますね、お頭」
「あー?まぁそうだな」
「嘘こけ。適当に返しましたよね今」
「お前、船長に向かって嘘こけっつったか」
「寒くないんですかその恰好。ていうかなんですかその恰好。なんで素肌にコート着てんですか」
「全力で俺をdisるのはやめろ!なんでてめーにとやかく言われなきゃならねえんだよ」
「お頭が風邪引いたら大変じゃないですか!あと、いつも目のやり場に困るんです!それに見てるこっちが寒い!」
「どれが本音だこら」
「もちろん全部です」
「お前ホントあれだな、嘘つけねーよな」
「お頭に嘘つくくらいなら海に沈みますよ、わたしは」
「ハッ!随分な事言ってくれるじゃねえか」
「分かって頂けたなら服、ちゃんと着てください」
「それとこれとは話が別だ」
「そんなに服着たくないんですか?露出狂だったんですか?」
「違うわ。俺ァ風邪なんてひかねーし寒くもねえんだよ」
「わたしに対する視界の暴力は棚上げですか」
「そんなに嫌なら見なきゃいいだろ」
「無理です。わたし、気づいたらだいたいお頭を探してしまっているので」
「あー、めんどくせェな!だったら、」
「うわ…っ!?」
「大人しく俺に抱かれとけ」
「…ぬいぐるみに徹しろってことですか…」
「そいつは静かでいいな。あったけえし」
「…実はやっぱりちょっと寒かったんじゃないですか、お頭」
「まさか」
「…キッド、何をしてるんだ…?」
「別になんもしてねえよ」
「何故、なまえは微動だにせずに抱きかかえられている」
「ぬいぐるみに徹してるらしい」
「すまない…余計分からなくなった」
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