イルーゾォに看病されてた


うう、身体が重い…。動かない。
久しぶりに風邪なんかひいたけど、こんなに酷かったことってあったっけ。
…喉渇いたなぁ…。こういう時一人暮らしの虚しさとか侘しさを実感しちゃうよなぁ。
せめてアジトにいれば誰かしら居るのに。なんて、「感染うつす気か、さっさと帰って寝ろ」って言われるんだろうな。ギアッチョあたりにさ。

ああ、とりあえずほんと、一回起きなきゃ。

「…いや、動かなすぎでは?」

「目が覚めたのか」

「うわっ!?イ、イルーゾォ?!」

「…熱は…まだ少しあるか。まったく、お前の家はまるでなっていないな。冷蔵庫は空同然、薬もろくにないときた。おかげでこのオレがわざわざ買い出しに行くはめになったじゃあねーか」

「はぁ…、って、いやいや!なんでイルーゾォがうちにいるのかって話だよ!っていうか、もしかしてここ鏡の中?」

「ほぉ、なまえにしては察しが早いな」

「そりゃあ…この布団全っ然動かないもん。身体が重いとか怠いとかそういう問題じゃない」

「ふん。お前が風邪で滅入ってる様をちょいと見に来ただけだったんだがな。あまりの寝相の悪さを見かねて鏡の中こっちに入れてやったんだ」

「熱出てる時って布団蹴り飛ばして戻しての繰り返しあるあるだと思うんだけど!そもそも来たなら起こしてよ恥ずかしいな…!」

「寝込んでいる奴を起こすか、馬鹿」

「それにしたって…げほ…ッ!ごめ、げほ、ゲホッ」

「しょうのねぇヤローだ。これでも飲め」

「うぅ…、ありがと…。…とりあえず、この布団退かしてくんない?起き上がれない」

「病人は動かず寝てろ」

「寝返りもうてないのはかえってしんどい!」



果たしてこれは純粋な親切なのか…。




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