露伴先生はプレゼントに意味を求める


「露伴先生、こんにちは!」

「やぁ、キミとこうして街中で会うってのは珍しいな」

「そうですね。運命です!」

「ハァ?…キミ、よく分からない占いだとかにハマってるんじゃあ、」

「ち、違います違います!そういうんじゃなくて、丁度さっき先生にプレゼント買ったんです。今度会った時に渡そうと思ってたところですぐ先生に会えたので、つい興奮しちゃったんです」

「…プレゼント?」

「はい。…これ、受け取ってもらえると嬉しいです」

「…、」

「…えっと、中身は万年筆です。怪しい物じゃあないです」

「別にぼくはこの箱の中身が変な物だなんて疑っているわけじゃあない。…ただ、なまえの腹の内が読めないのが気持ち悪いってだけさ」

「え、わたしの?…腹の内も何も、特に意図なんかないですよ」

「本当か?誕生日でも記念でもないのにプレゼントなんて、普通何かあると疑うだろ」

「露伴先生の『普通』、荒んでるなぁ…。あげたいな、使ってほしいな、って思うから贈るんです。他にプレゼントに意味なんていらないでしょ」

「ふぅん…。まぁ、そういうことならありがたく受け取らせてもらうよ」

「はい、よかったです。無駄にならずに済みました」

「…しかしなまえが貢ぐタイプだったとはな。気をつけろよ、変なのに引っかからないように」

「大丈夫です。人を騙されやすい女みたいに言わないでください」



誰にでも貢ぐわけないじゃないですか。




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