承太郎の妹は冬も気を抜かない


◇名前変換なし。


「ほいやっ」

「…部屋でいったい何をしてやがんだ、オメーは」

「何って、三点倒立だよ。見て分かるでしょ」

「すまねぇな、お前はおれが聞きてぇのはその『現象』についてじゃあなく『理由』だってことをいちいち言わねぇと分からんヤツだった」

「お兄ちゃんは言葉が足りないからねぇ。外では気をつけるんだよ〜」

「(このアマ…)」

「よっ、と。…これは筋トレの一環なのだよ。ダイエットは冬が肝心だかんね!」

「夏にも似たような台詞を吐いてたのはどこのお前だ」

「Shut up!冬は露出が減るから油断しがちなの!油断せずにいこうってことなの。あーあー、そういうのお兄ちゃんには分かんないかぁ!腹立つ!」

「…そうか。そういうことならおれもお前に気を遣ってやらねーとな」

「え、気を遣うとは?っていうか、え、何、戻るの?何しにきたの?!」

「なーに、今となっちゃお前には酷な話だ。聞かねぇ方がいいだろうぜ」

「し、知ってるぞ!その顔は何か企んでる時の意地悪顔だッ!家族に隠し事はよくないと思います!」

「やれやれ、おれは妹のためを思って黙っていてやろうと思ったんだがな」

「その台詞と意地悪顔のギャップに無理がある!わたしの目は誤魔化せないよ!」

「…親戚から歳暮が届いた」

「お歳暮…ハッ!まさか、」

「お前がいつも楽しみにしてるアイスの詰め合わせだ」

「やっぱりー!今年も贈ってくれたんだ、きゃっほう!」

「ダイエット中だったんじゃねぇのか」

「アイスは水分だからいいの!ノーカンノーカン!」

「都合のいいヤツだぜ」




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