遭遇


「…ん、」

目を覚ますと、そこは知らないところでした。
ぼーっとする頭をふるふる。あたりをきょろきょろ。
わたし、いつ寝ちゃったんだろう?ここはドコ?

お部屋の中は静かで、わたし以外の人はいないみたい。
眠っていたベッドから降りて、お部屋のドアを開けてみる。

ちょっとだけ開けたドアから廊下を覗くと、なんだか暗くてこわい。

「あぅ…どうしよう…」

ここがドコなのかも分からないし、ひとりきりで暗いところを歩くのはこわい。

そもそもわたしはどうして眠っていたんだろう?

雨が降ってきて、急いで帰らなきゃって思って…。
そうだ!金色の髪の毛の…えっと、でぃおに逢ったんだ!

覚えていないけれど知っている人の顔が思い浮かんでちょっと安心です。

寝ちゃったことは覚えていないけれど、でぃおと話をしていたことを思い出したわたし。

ここはでぃおのおうちなのでしょうか?

そう思い、わたしは一度体を引っ込めたドアから、また廊下へと顔を出す。

すると、覗いた方と反対の方からクツの音が聞こえて、わたしはすぐにそちらを向いたのですが…。

「でぃお…−?」

じゃ、ない。
名前を呼びながら振り返った先にいたのは、髪の長い、女の人のような服の大きな男の人でした。

「む…、何故この館に幼子がいる?貴様、何者だ」

「あ…わ、わたしはなまえって…いいます。あの、でぃおを探しているのですが、」

「でぃお?貴様!何も知らぬガキめ、DIO様を呼び捨てにするとは何たることかッ!」

「ひゃぅっ!?」

この人はでぃおのことを知っているかもしれないと思い、聞いてみようと思ったのだけれど…。
でぃおの名前を出した瞬間怒鳴られ、大きな手で腕を掴まれてしまいました。

どうしよう、何がいけなかったのでしょうか?

謝らなくちゃと思っても、ぎゅぅっと掴まれた腕が痛くて言葉がじょうずに出てきません。

痛くてこわくて涙がぼろぼろ流れてしまいます。

…その時、腕の痛みがなくなって、床から足が浮きました。

突然のことにびっくりして、涙で滲んだ目をぱちぱち。
誰かにだっこされていることに気づいて見上げると、それはわたしが探していたでぃおでした。

「でぃお…っ!」

「DIO…様…、」

思わず名前を呼ぶと、さっきの男の人も同じように呼ぶ声が。
でも、それは何故かうめくような声。

でぃおの服をぎゅっと握りしめながら振り返ると、男の人は壁にもたれながら立ち上がったところ。

あれ?さっきまで立っていたのに、どうして?
痛そうに腕を押さえているし、なんだか表情も辛そうです。

「アイス、貴様…なまえを泣かせたな」

「…その幼子がDIO様を呼び捨てにしたのです。幼子とはいえそのようなことは許されることでは…、」

「お前の忠義は認めよう。しかしな、なまえに手を上げるということはこのDIOに敵意を向けるのと同じことだ」

「め、滅相もございません!決してそのようなつもりでは!」

「分かっている。だが、次はないと思え」

「はっ!」

…頭の上で飛び交う言葉は難しくてよく分からないけれど、どうやら男の人はもう怒っていないようです。

男の人がもう怒っていないことと、でぃおに会えたことで安心したわたしの涙はもう止まっていて、ほっぺたに残った冷たさをごしごしこすって元通り。

助けてもらったお礼を言わなくちゃ。
それと、男の人が呼び捨てはダメって言っていたから、あの人と同じ呼び方の方がいいのかな?

「ありがとうございます、でぃお…さま?」

「…ああ、怖い思いをさせてしまったな」

これでいいのかな?と思いながら首を傾げると、でぃおは少しびっくりした顔をして、でもすぐに笑って頭を撫でてくれました。

「なまえ、私のことは今までどおりに呼べ。あの男の真似をする必要はない」

でぃおはそう言ってわたしをだっこしたまま歩き始めました。
真っ暗な廊下は少しこわいけれど、でぃおがしっかりとわたしを抱いてくれているので、今はだいじょうぶ。

落ちないようにぎゅっとでぃおに抱きついていたわたしには、でぃおの背中の向こうでまたさっきの人が壁にのめり込んでいるなんて…知る由もありません。



end

理不尽!
ちなみに最後の二撃目は「なまえに変なこと覚えさせるんじゃあない!」というやっぱり理不尽な理由です。




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