選択


「ダービー!」

小さななまえを抱え階段を下り、執事の名を呼ぶ。

すぐに奥の部屋から気配がし、間もなく現れたダービー。

「いかがなさいましたか?DIO様」

「雨に濡れていたからな。なまえを風呂に入れる。支度をしろ」

「それは構いませんが…彼女一人で、ですか?」

館に帰り着いて直後、髪や肌についた水滴は拭き取った。しかし、人間であるうえにまだ幼いなまえは弱い。

一度湯で芯から温めるのが得策だろうとダービーに指示を出すが、怪訝な表情を見るに何か問題があるのだろうか。

「なにか問題があるか?」

「いえ、この館は子供が訪れることを想定しておりません。一人では危険ではないかと思うのですが…」

「む…、それもそうか。では、エンヤ婆はいるか」

「いるにはいるのですが、この雨のせいで腰を痛めております。逆に危険かと。…よろしければ私がお入れ致しましょうか?」

「お前が…?」

ダービーが?なまえを?

腕の中のなまえへと視線を落とせば、なまえは私の顔を見上げ小首を傾げた。

「…一応ヴァニラ・アイスもおりますが、」

「それは駄目だ」

黙り込む私を見ての提案だったのだろうが、つい先ほどなまえはアイスに泣かされたばかりだ。
そんな男と二人きりにしたら怯えてしまうのは火を見るよりも明らかというものだろう。

「そうなるとやはり私か…もしくはDIO様がご一緒に入って頂くしか…」

「私が?」

なまえと風呂に?このDIOが?

全くなかったその発想に、私は衝撃を受ける。
なんということを考えつくんだこの男は。テレンス・T・ダービー、侮れん奴だ。

しかし、幼いとはいえなまえと風呂に入るというのはどうなのだろう。
だからといって他の男に任せるというのも気に障る。

どうしたものかと頭を悩ませていると、私の服を小さく引っ張る感覚。

それは当然腕の中に抱えたなまえの行動で、私は一度思考を止める。

「どうした、なまえ?」

「でぃおもぬれてたから、風邪ひいちゃいます。おふろ、いっしょにじゃダメですか?」

「っ!」

既に貧弱な人間ではなく、そもそも風邪など数十年以上、むしろ百年以上ひいた記憶がないこの私を、なまえが心配そうな表情で見上げている。

そして『風呂』へ『一緒に』と。

「……ダービー」

「はい」

「まず…タオルを二枚、用意しろ」

「…少々お待ち下さい」

その後、なまえの身体と私(ジョナサンというべきだろうか)の腰へタオルを巻き付け、極力目を閉じなまえと共に風呂へ入り若干逆上せたことは…このDIO、不覚である。



end

「ろりこん?なんだそれは。意味の分からんことを言うんじゃあない」




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