選択の成れの果て


進展はありません。


フィールドワークの最中、花京院からの連絡を受けた。

なまえに関する定期的な連絡とは別の連絡。

言わずもがな、悪い予感しかしねぇ。

こういった予感ってのは、悪いものほどよく当たりやがる。

『…なまえに、吸血衝動が出た』

「…状況は」

『今は、眠っている。でも目が覚めたら…もう、誤魔化すことはできないだろう』

「わかった。直ぐに行く」

ついに、この時が来たか。

おれは無意識に奥歯を噛みしめていたようで、ギリ、と軋む音がした。

立てていた作業スケジュールを全て中止にし、花京院に伝えたとおり、即座になまえを隔離している“病院”へ向かう。

決していつまでも隠し通せると思っていたわけじゃあない。

それが分かっていながら、おれたちはいつまでも真実を隠し続け、結果、なまえが一番傷つくかたちで突きつけた。

なまえが吸血鬼となったあの時、おれたちの手で終わらせていれば良かったのだろうか。

そんなことを考えても、あの時、あの場所で、いったい誰がなまえの死を選択できただろう。

結局、おれたちはあの憎らしい吸血鬼の掌で、今も遊ばれているのだ。

地平線に太陽が呑まれ、また、夜がやって来る。



end




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