薬研が見つけてくれた


◇名前変換なし。


「たーいしょ、探したぜ」

「…薬研。何かあったの?」

「別に、特に何もない。けど、あんたの姿が見当たらなかったからな。まさか屋根の上にいるとはなぁ。見当たらないわけだ」

「ああ、ごめん。書置きしておいたんだけど…気が付かなかったか」

「文机の上にあった、『一人にしてください』みたいなアレなら見たぞ」

「…見たうえで、特に何もないのに探してたの?こんな所にまで…」

「そうだなぁ…見たから、ってのが正しいかもしれないな」

「ふふっ、なにそれ。まるで天邪鬼じゃない」

「…あんたが一人になりたいって言う時は、本当は探して欲しい…見つけて欲しい時なんだ、ってのを…俺っちは知ってるからな」

「…」

「な、大将。あんたが『探すな』って言ってくれる限り、俺っちはあんたを探すし見つけるぜ。そんで、あんたが帰りたくなった時、一緒に帰ろう」

「…やだなぁ、もう…薬研は本当に…なんでもお見通しなんだから…」

「なんでもなんて知らないさ。だから俺っちは歩き回ってあんたを探すんだ」

「…ありがと。ごめん、もうちょっとしたら帰るからさ…もう少しだけ、側にいて」

「ああ、もちろん」



天邪鬼なのはわたしの方だった。




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