承太郎が免許を取って数年


「なまえ、行くぞ」

「はいはーい。…あれ、お兄ちゃんそのキーって?」

「車のだ。昨日レンタルしといたんでな」

「ああ、そうなんだ。タクシーもバカにならないしね。でも、お兄ちゃんって案外一般的だよね。おじいちゃんなら買ってたよ、車」

「何年もこの町に住むわけじゃねえんだ。買ったって仕方ねえだろ」

「チッチッチ!ぽーんと買って、また戻る時にぽーんと売り払うんだよ!」

「マジにやりそうだな、じじいなら」

「でしょでしょ。…にしても、お兄ちゃんが免許とって何年も経つし、乗せてもらうのも全然初めてじゃあないけど、何故か未だに違和感があるんだよねえ」

「おれだってお前の運転なんざ恐怖しか感じねえぜ」

「ひどいっ!こちとらゴールド免許だよ?!…って、そうじゃなくて。怖いとかじゃあないんだけど、なんだろ?運転席があまりに狭苦しく見えるからかなぁ…」

「んなこと言ったら後部座席だろうがなんだろうが変わらねえよ」

「お兄ちゃん、車が似合わないんだね!」

「分かった。お前は自転車でも借りて来い。場所は、」

「うそうそ!ごめんってお兄ちゃん!」




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