仗助くんと年上の彼女
例えば、おれがソファでうとうとしてる時。
勉強してて寝落ちした時。階段とか、段差のあるトコでなまえさんがおれより上になった時。
なまえさんは、よくおれの頭を撫でる。
髪型を崩さないようにそーっとだったり、ぽんぽん、ってかるーく手を乗っけるみたいだったり。
崩れてる時、崩してもいい時は犬を撫でるみたいに両手で思いっきりやられることもある。
嫌かって言われたらそうじゃあない。
好きな人が触ってくれてんだぜ、どっちかっつったら嬉しいよ。
けどよぉ、なんでかな。嬉しいだけじゃあねえんだよなぁ…。
「あんま、子供扱いしないでほしーんスけど」
こんなん言ってる時点でガキじゃねーか。そんなこと、口にする前から分かってた。でも言っちまうんだよな〜。
つまりは、やっぱガキってことで。
「あー…、ごめん。子供扱いしているつもりじゃあなかったんだけれど、やっぱ髪、触られるの嫌だった…?」
「いえ、別に嫌だったってわけじゃあ、」
「前に、背の高い人は頭撫でられるとドキドキするって聞いたことがあってね。仗助くんも背が高いから、どうかなーと思ったんだけれど…ごめん、やっぱ人それぞれだよね」
おれ、今めちゃくちゃ後悔してる。
頭撫でられる度に子供扱いされてんのかな、なんて余計なこと考えて、素直に『嬉しい』って言えなかったことも、そんなガキ臭い自分をなまえさんに曝したことも。
後悔してるし、自分に腹が立つし、情けないけど。
そんなことより先に、おれはこれを言わなくちゃあならない。
「おれ、なまえさんといる時はいっつもドキドキしてますよ」
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