典明と受験に向けて頑張る


◇生存院。平和な日常。


「典明…構ってくれ」

「…お疲れだね、なまえ」

「もうつらい。数字見たくないしアルファベット書きたくない…」

「大学受験を決めたのはなまえ自身だろう?受験することを許してくれた親御さんに感謝の気持ちがあるのなら、ギリギリまで頑張るんだ」

「許してくれたもなにも、親はわたしが大学行くこと前提で考えてたよ。わたしがもし就職するって言ったら、むしろ反対されたと思う」

「まぁ、最近じゃあ高校を出て即就職、っていう人も減ってきているからね。…でも、行きたくても色々な事情で行けない人だっている。キミは自分の行きたいと思った大学を選んで、そしてそれを許された」

「…まぁ、うん…」

「僕だって同じ立場だから偉そうなことは言えないけれど、学びたいことを学べるっていうのは、とても貴重なことだと思うんだ」

「なんか、典明って先生みたいなこと言うね」

「…すまない、なんだか説教くさかったかな」

「ううん、そうじゃなくて…大人だなーって思わされる」

「別に、僕は大人なんかじゃあないよ。今だって頑張らなくちゃいけないなまえのことを引き留めているわけだし」

「頑張ってる典明の邪魔しに来たのはわたしでしょ」

「違うさ。キミが頑張っているから僕も頑張れる」

「うわぁ、気障なセリフ」

「なまえが頑張ってることは僕が一番知っているからね」

「ん、そ−だね…。よーっし、典明には負けてらんないなぁ!」

「よしよし、その意気だ」

「…あと5分そのまま頭撫でて」

「5分は長いよ…」




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