リーダーを観察してみたけどなにも分からなかった


◇シリアスなようなそうでもないような。リゾット不在。


「うーん…」

「おいおい、どうしたなまえ。眉間に皺ァ寄ってんぜ」

「ホルマジオ…。あのね、わたしがチームに入ったばかりの頃、プロシュートに言われたことがあるの。『常に周りを観察することだ』って」

「ま、基本中の基本だな。狙う時もそうじゃねぇ時も、オレたちゃいつだって死と背中合わせだ」

「それでね、観察を習慣づけるために、まずはチームのみんなを観察してたんだよね。癖とか、好きなモノ、嫌いなモノとか」

「おーおー、そういやあったなぁ!ヒヒッ、あんときゃモロバレのお粗末な尾行だったぜ〜」

「そ、そこを蒸し返したいんじゃあないの!…それでも、時間はかかったけどだいぶみんなのことも分かってきたつもりだった。…けど、リーダーのことだけはちっとも分からなかったんだよねぇ…」

「あー…、あいつは難関中の難関だな」

「そう。プロシュートもその時は『あいつは仕方がねぇ』って言ってた。…でも、今ならちょっとは分かるかなって思って、また観察を始めてみたんだけど…」

「全然ダメってこったな」

「…そう。生活リズムは一定だし、任務で怪我をすることもゼロ。毎日通っているようなところもなければ拘ってるものがあるようにも見えないし、そもそも感情が読みにくくて…もうお手上げ」

「そうだなァ…あいつは、そういう風にしてるからしょうがねぇよ」

「『そういう風』、とは?」

「執着しねぇようにしてんだと、あいつは。食いモンも場所も…動物や人間にもな」

「…好きなものを作らないってこと?」

「らしいぜ。オレもちょっと聞いただけだがよォ。…何もない方が気が楽だとかなんとか…」

「ふぅん。なんとなく、分からないでもないけど…」

「まぁなぁ。一匹を気に入っちまうと、その猫がいつもの溜まり場にいねぇ時がっかりするしな〜」

「…なんとなくそれは違うような、違わないような…?」



多分要はそういうこと。




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