承太郎とイルカくん枕


◇3部本編後。


「承太郎、大学合格おめでとう!」

「ああ」

「はい、これ。わたしからの合格祝い」

「やけにでけぇ…が、軽いな」

「まあまあ、開けてみればわかるよ」

「…イルカ?」

「そうです。イルカ型抱き枕!承太郎の身長に合わせてもらった特注品だよ」

「…」

「かわいいでしょう?」

「おう」

「うへぇ、本当にキミは海洋生物には素直だね」

「うへぇってなんだ」

「別になんでも」

「ふん、かわいくねぇ」

「セリフだけ聞くとむっとすべきところなんだろうけれど、承太郎がイルカくんをもふもふしている姿がかわいすぎて怒りがわかない」

「こいつはありがたく頂くぜ」

「うん、喜んでもらえてよかった。…ちょっとわたしにももふらせてよ、なんか羨ましくなってきた」

「ちょっとだけな」

「はいはい。…うあー、気持ちいい。枕っていうか、クッションみたいだね。これはよく眠れそう」

「よく言うぜ。お前は枕が変わろうがなかろうが爆睡じゃねぇか」

「はっはっは、安眠妖精と呼んでおくれ」

「妖怪の間違いだろ」

「酷いな!…ていうか、まぁなんにせよわたしは承太郎の言うとおりいつでも何処でも眠れるけどさ。承太郎は違うでしょう」

「おれが枕ごときで左右されるように見えるのか」

「でも、最近あんまり眠れてないよね?」

「…おれも一応受験生だったからな」

「わたしも勉強が忙しいのかと思っていたけれど、違うよね。…あの旅が終わってから、」

「なまえ」

「分かってる。これ以上は言わない。でも、いくら承太郎でも、このままじゃあいつかガタが来る。精神的にも、肉体的にも」

「それくらい、おれにだって分かってる」

「分かっていても眠れないなら、枕にでも頼るしかないじゃない」

「…それでわざわざ、」

「『じょーたろーくん、ぼくと一緒なら綺麗な海の夢が見られるかも!』」

「…お前の裏声はともかく、やはり胸びれが動く様はたまらねぇな」

「おおい、わたしの声あってこそでしょーが!えい、イルカアタック!」

「やめろ、イルカの顔面が潰れちまうだろうが」

「本当にイルカくん大好きだな、キミは!」

「おう。…お前も、ありがとうよ」

「うへぇ、イルカくんのついで感ハンパない」

「うるせぇ」

「わぶっ!?わたしのファーストキスがイルカくんに奪われた!」

「よかったじゃねぇか」

「じゃぁ承太郎にもイルカくんキッス!」

「むぐ、」

「あ、イルカくんで間接ちゅーだね。なんちゃって」

「…このやろう」

「んむぅう!息出来ない!イルカくん激しすぎるからぁあ!」




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