承太郎にフラれた


◇名前変換なし。シリアス。


キン、と冷えた薄青色のガラスをはめ込んだような、冬の空が好きだった。
透明感のあるその色を、彼も好きだと言っていた。

同じものを好きだと言ってくれた、たったそれだけのことでさえ、わたしは嬉しくて堪らなかった。

それを、その胸が締まるような想いを、彼は否定した。

「吊り橋効果、ってやつだろ」

お前はおれのことを好きなんだと、勘違いしているだけだ。
そう言い切って、彼はこの話はもう終わりだとばかりにわたしへ背を向け、去って行った。

あまりにも一方的なその態度に、胃の中が熱くなるほど腹が立った。
吊り橋効果?いったいあの旅から何カ月が経っていると思ってるんだ。
勘違い?そりゃああんたの方じゃあないか。…あんたなんて、わたしがどれだけ苦しい気持ちでいたか。どんな覚悟であんたに想いを告げたか。知らないくせに。

「…ちくしょう…っ!」

涙と鼻水が止まらなくて、頭がくらくらする。
こめかみが痛いし、目や鼻の周りも擦りすぎたようで痛い。

開け放った部屋の窓から流れ込んでくる冬の空気はひんやりと冷たくて、なのに熱くなった目の周りや胃の中はどうにも冷めてくれない。

見上げた空はやっぱり綺麗な薄青色で、ああ、承太郎の好きな色だ。なんて考えるわたしの熱は何一つ冷めやらぬままだ。





- 86/100 -

前ページ/次ページ


一覧へ

トップページへ