隣のお家のカーズさん


◇なまえさんから見たカーズさんのほぼ日記みたいなもの。


わたしの家のお隣に住んでいるカーズさんは、ちょっと変わった方です。

カーズさんは、とても身長が高くてがっしり…どころではなく、アメフトでもやっておられるのかなっていうくらい筋肉質で。
顔はかなり整っているし、髪は少し長め。
何処か優雅な雰囲気を纏っている。
…挙げてみれば外見からしてちょっと変わった方でしたね。

でも、わたしが変わっているなと思うのは外見じゃあないんです。


あれは、ある晴れた日曜日のことでした。

わたしがふとコーヒー牛乳を飲みたくなって、近くのコンビニへお出かけした帰り道のことです。

「(あ、あれは…お隣のカーズさん)」

見慣れた公園をそのまま通り過ぎようとした時、視界の端に知っている後ろ姿が映ったのです。

カーズさんと公園。
なんだか違和感を覚えさせるその組み合わせに、思わずわたしは家に向かう足を止めました。

カーズさんは、膝を曲げて腰を落としていました。

何か探し物かな?コンタクトとか。

そう思ったのですが、「バゥ!」という鳴き声で、彼の前にワンちゃんがいるのだと分かりました。

あの体躯でワンコ好き、と考えると、なんだか胸がきゅんとします。

カーズさんは雰囲気が独特だから少しとっつきにくいという印象だったのですが、わたしはこの時、偶然を装い…話しかけてみることにしたのです。

「東の通りへ行くといい。あそこは小規模の飲食店の集まりだ。食うには困らんだろう」

「…」

三歩進んだところで、わたしの足はまたも動きを止めました。

カーズさんが話していたからです。
ワンコに。言葉を。話していたからです。

しかも驚いたことに、ワンコは一吠えすると、本当に言葉の意味を理解したように…東の方面へ向かって走って行ったのです。

カーズさんはそれを見送ると一つ息を吐き、立ち上がってこちらの方へ振り返りました。

「こっ…こんにちは…」

「…どうも」

ぽかんとしながらも、わたしは挨拶の言葉を機械のように発していました。

わたしの態度が挙動不審だったからでしょう。
カーズさんは怪訝そうな顔をして短く返し、スタスタと公園を後にしてしまいました。

わたしはとにかく一度落ち着こうと、公園内にあるベンチへ座り…買ってきた紙パックのコーヒー牛乳へとストローを挿して口をつけるのでした。

「…ぬるい」


それから外でカーズさんを見かける度、わたしはそっと耳をそばだてるようになりました。

ある時は鳥に向かって。
ある時はにゃんこに向かって。

様々な動物たちと話しをしているカーズさんを、わたしは何度も目の当たりにしています。

それは会話になっているのか。
わたしには分かりません。

ただ一つ、確信があるとすれば。
それは今までその風貌からとっつきにくいと感じていた彼に対し、今はその行動全てがとっつきにくいと思うようになった。
ということです。



end
転生とかして、前の副作用(?)的なもので何とでもお話できるスキルがあったら楽しいかなって。




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