ミスタさんとご飯
◇5部本編終了後。
「これで任務は無事終了だな」
「はい。お疲れ様です、ミスタさん」
「なまえもお疲れさん。んじゃ、いい時間だしよォ、このままメシ食ってくか!」
「あ、はい。そうですね」
「お前、何食いたい?この辺は魚もうまいらしいぜ」
ミスタさんは、仕事が終わるとよくご飯に誘ってくれる。
最初の頃は、「コイツらがうるせーから」と、6人いる彼の分身を指さしていて、その言葉どおりご飯をせがむ彼らのおまけというか、ついで?みたいな感じで誘ってくれているのだと思っていた。
でも最近は、ピストルズのみんなが静かな時でも、恒例のように誘ってくれる。
それが嫌だなんてことは決してない。
…むしろ、嬉しいと、思っている。
でも、わたしにも思うところがある。
確かにわたしはミスタさんより年下だし、後輩…というか部下、という立ち位置にあるわけだけれど、それでもそんなに年が離れているわけではないし、新人というほど浅くもない。
なのに、毎回毎回彼は当たり前のようにわたしの分まで支払いを済ませてしまうものだから、なんとも心苦しいものがある。
「さーて、そろそろ行くとするか。ボスもお待ちかねだろうしな。オメーらも満足したか〜?」
「!」
ミスタさんがピストルズたちに声をかけた隙に、わたしはテーブルの端にある伝票にそっと手を伸ばした。
「あ、」
しかし、静かに動こうとしたのが仇となったようで、それはわたしよりもリーチの長いミスタさんにあっさり取り上げられてしまった。
…いや、こんな言い方は大変に失礼なことだけれど。
「ん?なんだ、なまえ。どうした?」
行き場をなくしたわたしの手を見て、ミスタさんは何食わぬ顔で「ナプキンか?」と首を傾げている。
「いえ、あの…今日はわたしが支払います!」
「はぁ?いいって、別に。オレのが断然お前より食ってんだしよォ」
「でも、いつも奢ってもらってばっかりになっちゃっているので…たまにはお返ししないと良くないと思うんです!」
かわいげのないやつ、と思われるかもしれない。
そう思いつつも、もう開き直るしかない。
「そんなこと考えたこともなかったぜ。…けどよォ、やっぱ男のオレが一緒にいんのに女のお前に金を出させるっつーのは、オレの格好がつかねーと思わねぇ?」
「そ、そういうものでしょうか…」
「そーいうもんなの。だから、お返しがしたいってんなら、何か別なことでしてくれた方が嬉しいぜ、オレは」
ニヤリ、なんて擬音が合いそうな不敵な笑みを浮かべて笑うミスタさん。
具体的にはどんな、ということは分からないけれど、でも本人にきちんと自分の気持ちが伝わったのは判った。
「わかりました!わたし、ミスタさんが喜んでくれるように頑張ります!」
「…なまえ…お前…、もうちょい危機感っつーか、そういうことあんま軽く言わねぇ方がいいぞ…」
「軽くじゃありません!真剣ですよ、わたし」
「あー、うん…分かった、オレが悪かった…」
「えっ、どうしてミスタさんが謝るんです??」
片手で頭を抱えたミスタさんに慌てるわたしは、顔が赤くなっている彼にただお水を勧めることしかできなかった。
わたしもまだまだミスタさんのことをよく分かっていないみたいだ。
end
ジョルノ「あの二人、遅いな…まさか何かあったのでは…?」
なにかあったようでなにもない。
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