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「あっ、もうこんな時間!そろそろ帰らなくちゃ…」
時計を見やり声をあげたなまえさんにつられ、俺も時計を確認する。
時刻はもうすぐ17:30を示そうとしていた。
JOJOの口車に乗せられて訪れたコイツの家には、やはり花京院となまえさんが勉強のために集まっていた。
それはもうすぐ始まる全国模試に向けたもので、承太郎が真面目に勉強するのは若干意外だったが、どうやらなまえさんの提案で催されたものらしい。
花京院は所用で1時間ほど前に帰宅し、おかげでと言ってはなんだが、俺は先輩としてアドバイスするというかたちで加わった。
ちなみにJOJOの奴は、変な例えや覚え方ばかり説明して話をややこしくしやがるので、漫画でも読んでいろと隅へ追いやった。
本当に兄のジョナサンも弟の承太郎も、どうしてこう頭は悪くない癖に変なところで残念なんだ。
「お、ベンキョー終わったの?」
「はい。ツェペリ先輩、ジョセフ先輩、承太郎もありがとうございました!」
「シーザーはともかく、コイツは何もしてねぇじゃねぇか」
「ひっでー!山の張り方とかチョー役立っただろ?!」
「お前は茶々入れてただけだろうが、スカタン!」
テーブルに広げたテキストやノートをまとめつつ、なまえさんは俺たちのやりとりを見ながら楽しそうに笑う。
その笑顔がまた可愛らしくて、俺はじっと彼女に見惚れてしまった。
「ツェペリ先輩?」
名前を呼ばれ、小首を傾げる彼女を見て、自分が彼女を凝視していたことに気づく。
俺は、もともと切り出そうと思っていた言葉を、気まずい雰囲気になる前に慌てて口にする。
「あ、ああ…その、俺も帰るから、良ければ送らせてもらえないだろうか?」
「いえいえ!そんな滅相もないです!まだそんなに暗くないし、一人でも大丈夫です!」
「俺が心配なんだ。キミは自分の可憐さをもっと自覚すべきだと思う」
「か、かれん…?!」
説得するように真っ直ぐ瞳を見て本心を告げれば、なまえさんは湯気でも出るんじゃあないかというほど真っ赤になり、小さな声で「あ…アリガトウゴザイマス?」と、何処か片言な言葉を返した。
これはオーケーととっていいのだろう。
「邪魔したな、JOJO、承太郎」
「あー、うん…気を付けて」
「…、」
JOJOと承太郎は、何故か苦虫を噛み潰したような、引き攣った表情を浮かべて俺たちを見送った。
性格は全くと言っていいほど違うが、ああいうカオは似てるんだな。どうでもいい発見をした。
それから、俺となまえさんは夕日がほとんど傾いて、少しずつ闇に染まる蒼い道を歩いていく。
二人きりになったことで若干緊張しているのか、なまえさんは少しぎくしゃくした様子。
俺としては、色々な話をしてもっとなまえさんのことを知りたいと思うのだが、此処で強引になってはいけない。
今のところ少なくとも悪印象ではないようだし、まずはこちらの好意を示しておくべきだろうか。
「なまえさんは、承太郎やJOJO…ジョセフと仲がいいんだね」
「あ、はい。承太郎とは中学からの付き合いで、ジョセフ先輩も家に行った時によく一緒に遊んでくれていたんです」
「そうだったんだ。少し妬けるな」
「やける?」
「俺も、もう少し早くキミに逢っていたかった」
「ツェペリ先輩?どういう…」
「シーザー。俺も名前で呼んでくれると嬉しいんだが」
「えっ、な、名前ですか…!?」
「ダメかな?」
「いえっ、そういうわけでは…!」
自分だけが名前で呼ばれないことを溝と感じていた俺は、できれば彼女の唇で名前を紡いで欲しいと思っていた。
俺と彼女が少しでも親密になれたらいいと、そう思う。
というか、此処で拒否されたら流石の俺も凹む。
「じゃ、じゃぁ…シーザー、せんぱい…」
「ああ、ありがとう。キミに呼んでもらえて初めてこの名前が意味を成したような気がするよ」
頬を染めておずおずと遠慮がちに名前を呼んでくれたなまえさんがたまらなく愛しくて、その美しい髪へ口づけた。
「ああああのっ!」
「どうかした?」
「わたしその…慣れてなくて、あのっか、勘違い…してしまいそうなので…!」
もごもごと必死に何かを伝えようとしているなまえさんは、顔どころか耳まで赤く染まっている。
勘違い、とはどういう意味だろうか?
「す、好きになっちゃいそうなので!少し距離を、」
「マンマミーア!キミが好きになってくれるなら、俺も好きでいていいってことだよな?」
「…へ?」
「キミは承太郎のガールフレンドだから、もしかしたらと思っていたんだが、俺にもまだチャンスがあるということか!」
「え、えええ?!」
「なまえさん、俺はこれから本気でキミを口説くから、覚悟しておいてくれ」
「ほ、本気でって…?!」
シーザー・A・ツェペリの本気はこんなものじゃあない。
「これ以上ドキドキさせられたら、わたし死んでしまうかもしれません!!
end
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