高校生にセクハラを受ける


◇特に細かい設定などはありませんが、3部旅後の平和な日常。生存院。


「なまえさん、クリームついてますよ」

「むぐ、こっち?」

「いえ、逆です」

クリームたっぷりのクレープを食べているわたしに、典明くんがコーヒー片手にわたしの痴態を教えてくれた。
やだもう、口の横にクリームなんて子供みたい!
指先で口元の左側を拭ってみたけれど、どうやら2分の1の確率を外してしまったらしい。

すぐに逆側へと指を移動させようとしたら、それより早く典明くんの手が伸びてきて。

ぺろっ

「えっ、な…っ、」

「はい、取れた」

「とれっ、え…あ、ありがと…」

いやいや。いやいやいや。
いつもの優しい笑顔に思わずありがとうとか言っちゃったけど。あ、クリーム取ってくれたのはありがとうなんだけれどそうじゃなくて。
よく今をときめく少女漫画とかで、口元についたそれこそクリームなんかを男の子が指で拭ってそれをぺろってしちゃったりなんかしてきゃーってなるシーンがあると思うけれど。

まさに、それ。
ぺろって!指をぺろって…っ!

「どうかした?」

「ええっ!?どうかっていうか、」

え?なにこのわたしが一人で挙動不審に陥っている感は。
え?もしかして普通なの?
典明くん、結構ご家族と海外旅行とか行っているらしいし、もしかして彼的には割りと普通のワールドワイドなスキンシップというかコミュニケーション方法だったり…?

「…ナンデモナイデス」

典明くんの行動に対する衝撃と色んな考えで頭がショートしたわたしは…考えることをやめた。

なんだか、最近こんなことが多いような気がする。

この間も、典明くんのお家に承太郎くんと三人で集まって、気づいたらゲーム大会になっていて。
そこまではいい。極々普通のガクセーらしい休日の一コマ。
ゲームをプレイできるのは二人で、必然的に一人余る。
だから1プレイごとにぐるぐるローテーションしていくわけなんだけれど。

「なまえ、もっと左に寄せた方がいいんじゃあねえか?」

「そ、そうかな…うん、そうかも」

「おい、蛇行してるぜ。集中しろ」

「集中…集中…、」

できるかぁっ!
思わずアドバイスしてくれた、現在プレイヤー外の承太郎くんに叫びたくなる。
叫びたくもなるよ、だって。
どうしてっ!どうしてわたしがプレイしている時に余った方がわたしの背後にいるのっ?!
ていうかこれ背後っていうか…抱きかかえられてる…!

二人から見たら確かにわたしは小さいし、わたしから見たら確かに二人は大きい。

それにしたって同じ高校生をまるでクッションみたいに自然にナチュラルに抱きかかえるなんてどういうことなの?
あれ、自然とナチュラルって同じか。

こんな体勢で喋られたら、そりゃあ当然わたしとしてはめちゃくちゃ近いところから声が聞こえるわけで。まぁ、なんというかまるで囁かれているような感覚なわけですよ。
たまに耳や首元にかかる息がくすぐったいやら、なんだか恥ずかしいやら…。
身体が熱くなってしまって集中なんかできやしない。

おかげでわたしは酷いスコアの連発。
くそぅ、わたしだって普通にやればそこそこいい線いくんだぞ!
あれは二人が結託した妨害工作だったんだなぁと納得して、別段深く考えなかったんだっけ。

今にして思えば、あんなことしたら普通は誤解されてもおかしくないよね。
わたしだって、一応ドキドキしちゃったしさ。

でも、承太郎くんはハーフさんで、半分は挨拶でキスとかしちゃうお国の血が流れているし、典明くんもよく分からないけどワールドワイドな感じだし。
そういうところをわたしは知っているから、変な誤解はしたりしなくて済む。

「典明くん、今みたいなことは他の子にやったらダメだよ?」

「やりませんよ、なまえさん以外」

「…なら、いいんだけど」

うん?一応自覚はあるのかしら?
わたしだからやる。やれるってこと??

美味しい糖分を摂取して脳にとっては絶好調な状態だと思うのに、考えてみてもいまいち典明くんにおけるわたしのポジションはよく分からなかった。

「さて、承太郎の用事も終わる頃だ。そろそろ行きましょう」

「結構あっという間だったね」

「そうだね。なまえさんと居ると、なんだか楽しくてあっという間だ」

「わたしも、典明くんと承太郎くんと一緒だとすっごく楽しいよ!」

承太郎くんの用事が終わったら、集合して三人で街をふらふらする予定だったわたしたちは、学校近くの公園へと向かうため歩き出す。

何の気なしに歩いていると、典明くんにぐいっと腰を引き寄せられ、車道側ではない方へ軽やかに誘導された。
こういう何気ない優しさが凄く好き。
…腰を抱き寄せられたままなのは、わたしが危なっかしいから?
そんなに危なっかしいかな、わたし。


スキンシップセクシュアル・ハラスメント
【セクシュアル・ハラスメント】定義:主に、受け身となる当事者の主観で判断される。


end

「花京院と承太郎にセクハラを受ける」とのリクエスト。
今は反応見て愛でている感じですが、そのうち過激なことしちゃってその反応で理性的なものがプッツンしちゃったりするんでしょうね、この青年たちは(笑)
犯罪ダメ絶対!とか思いながらも楽しく書かせて頂きました!
少しでも楽しんで頂けましたら光栄でございます…!




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