承太郎に膝カックンすること


今回だけのあらすじ。
変な幽波紋使いに絡まれた挙句、わたしの大事なものを奪われましたとさ。

…いやいや、大事なものってあれですよ。「あなたの心です」とかそういうんじゃあなくて。

具体的に何かは分からないんだけれど、どうも物らしい。

で、それを取り戻すためにはお題をクリアする必要がある…と。

「なになに?『お題:空条 承太郎に膝カックンすること』」

…膝カックン?膝カックンてあれだよね。小学生の時によくやった、ひとの膝裏に自分の膝をぐいって押し込んでカクーン!ってなるやつ。

「よ…よかった〜っ!なんとかできそうなやつキタコレ!」

もしお題が『DIOとサンバを踊ること』とか『ジョースターさんを殴ること』とかだったら、正直諦めようと思っていた。
よしよし、運はわたしに向いているな!


◇それからどうした◇


「承太郎はっけーん」

前方、多分50メートルくらい先!ターゲットはわたしに背を向けて煙草を燻らせています!
よし、それでは気配を殺して前へー、進めーっ!
サー、イエッサー!

「…えいやっ!」

ドスッ

「…ッ!?」

「…、…〜ったい!痛いわ承太郎のばかぁあっ!」

「テメェ、なまえ…そいつは完全におれのセリフだぜ。いきなり何しやがる」

真後ろにいるわたしへと振り返る承太郎は、なんとカクーンとならずに平常どおりわたしの遥か頭上から視線を落として来る。

それもそのはず。

何故なら膝カックンは失敗したのだ。

わたしの膝は、承太郎のかてぇ脹脛に直撃した。
…ち、違うぞ!わたしの足が短いんじゃあない!承太郎の足が長すぎるんだ!

例の箱をちらりと確認するも、今のではお題クリアとは認めてもらえないらしく、相変わらず鍵は閉じられたままだ。

わたしは心と身体(膝)にダメージを受けながら、仕方なく承太郎に幽波紋攻撃のことを説明した。

すると、彼はお決まりの口癖を呟き、わたしに背を向けた状態で少し膝を折り曲げた。

「…これはなんのつもりかね承太郎」

「あ?お題とやらをやらねーと困るんだろ」

「そりゃあ、まぁ…多分、困るだろうけれど」

「なら仕方ねーだろ。おら、さっさとやれ」

「…く…っ、ありがとうよバカヤロォオッ!」

承太郎の膝裏に膝蹴りレベルの勢いで膝を押し込んでやった。

やっぱりわたしが痛かった。


「で、大事なものってのはなんだったんだ?」

「…明日までが提出期限の数学ワークだった」

「…」

「なんだよ!大事じゃん課題提出!」

ちゃんちゃん。


end




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