※Twitterからプラス再掲
※名前変換なし
※格好いい彼らはいません



▼降谷

帰宅したら彼女もちょうど帰ったところで、洗面所で順番に手を洗いながら「ただいま」「おかえり」のやりとりをする。
彼女に「顔色悪いよ」と指摘されて三徹中だと白状したところ、「職場で寝てくればよかったのに」とド正論。
「経験上、君がいる空間の方がよく眠れる。より効率的に回復できる方法を選ぶのは当然のことだろ」なんていかにも合理性を追及しましたみたいな口ぶりで返してから、(会いたかったと素直に言えばよかったか)とぼんやり考えた。さすがに頭が働かない。

ふと、彼女のストッキングが伝線していることに気がついた。
「退勤の時に気付いたけどそのまま帰ってきちゃった」と苦笑する彼女に、ムクムクと湧き上がるよくない感情。
どうせ捨てるなら破らせてくれないだろうか、と考えて、彼女の驚いた表情に(あ、口に出てた)と気付くが後の祭り。
視線をうろうろ彷徨わせた彼女が「いいよ」と小さく呟くので、ありがたく破らせてもらうことにする。

拭いた洗面台に片膝を立てた彼女を座らせ、伝線した箇所をピリピリと広げる。
それだけでは物足りなくて思いのままに引き裂けば、人工的な肌色から彼女のなめらかな素肌が現れてついつい凝視。
残った細い繊維が柔らかな太ももに食い込む光景はなかなかに攻撃力が高く、「このまましたい」とうっかり願望が漏れ出してしまう。
え、と声を震わせる彼女の頬は赤く、両手で口元を覆って瞳を揺らす姿に寝不足の理性は全く役に立たなかった。

言葉通りにそのまま抱いたのはさすがに引かれたかとも思ったが、ある日彼女がストッキングを多めにストックするようになったことに気付いてガッツポーズしたり、「また伝線しちゃったんだけど……どうする?」なんて赤い顔で聞かれてたまには本能に身を任せるのも悪くないと思ったりする。





▼諸伏

「ひろ、くん……」

か細い声にハッとして、目の前の光景に(やってしまった)と悟る諸伏。
疲労困憊で帰宅して、彼女を膝に乗せてイチャイチャしながら「癒される……」とか呟いていたことまでは覚えている。
そして今、彼女は赤い顔で目を潤ませているうえに、荒い息を吐く唇はてらてらと濡れてぽってり腫れ上がってしまっていた。
気付いた途端に蘇る記憶。そうだ、彼女の唇をボーッと見つめていたら堪らなくなって、指先でさんざん弄り倒した後、最終的には本能のままに何度も何度も貪ったんだった……

「ご、ごめん」と慌てて謝れば、彼女は目をとろんとさせたまま弱々しく首を振る。
勢いで傷付けてしまわないよう日頃から気を張っていたというのに、疲労ごときでプッツンといってしまうだなんて我ながら情けない。
それなのに彼女が「嬉しかった」なんて頬を緩めるから(えっ嬉しいの?)となり、その後はハードルが格段に下がる。

彼女の唇が好きすぎて何もなくともふにふに弄るし、舐める・甘噛みも当たり前。
行為の最中は大体キスしてるので、彼女も大体酸素を求めてはくはくしてる。外出時にマスクで隠されるのも興奮してしまい、帰った後は反動で腰が抜けるまで貪る始末。

さすがに抑えないと愛想尽かされちゃうかな、とは思うものの、彼女が「いつか食べられちゃいそうだね」なんてとろけた顔で笑うので、結局今日も我慢できない。





▼萩原

彼シャツとオーバーサイズの服は決してイコールじゃない、というのが萩原の持論だ。彼シャツは彼シャツであって、メンズサイズの服を着ればいいというものではない。
だから彼女が泊まりに来る時にだぼだぼのジャージを持参していても「これ着心地いいぜ〜」と自分のシャツを手渡すし、自分用の部屋着を置いていくようになっても「もう専用にしちまったから」と頑なにシャツを着てもらう。

自分のシャツに身を包んで袖をだぼつかせる姿も堪らないし、胸元や裾からちらりと下着が覗くのも絶景だ。料理中に後ろから袖を捲ってやるのだって自分だけの特権だと思っている。
彼女を抱く時も、自分が着せた服を自分で剥ぎ取るというのが妙に興奮するのでやめられない。

ある日緊急出動に次ぐ緊急出動でフラフラになりながら帰宅した時、様子を見に来た彼女に「何かできることある?」と聞かれて「俺のシャツ着て……」と煩悩丸出しなリクエストをしてしまって(あっ)となる。今までさりげなく着させていたのに全てが水の泡だ。
「もしかして、そういうの好きなの?」と目を丸くする彼女に「今更かよ。超好きだよ」と白状すれば、その後は疲れた彼氏を癒すために進んで彼シャツをしてくれるようになるので結果オーライ。

毎回「最高」「女神」「愛してる」とさんざん拝み倒すし、彼女も(まあ悪い気はしないかな……)と思ってるので平和な二人。




▼松田

「疲れてるとストロー噛むよね」

ふふ、と笑った彼女が「寂しんぼ?」と続けるので、「はあ?」と思いっきり眉根が寄る松田。
本当は彼女のありとあらゆるところを噛みたいという欲求を抑えているので、ストローを噛む程度で済んでいることに感謝しろとすら思ってる。

ただでさえ疲労が限界に達すると理性を保つのも難しくなるのに、煽っているのかと思うほど無防備な彼女。
風呂上がりの赤らんだうなじも、無邪気に触れてくる指先も、大きめのTシャツから覗く肩も、長い髪を無造作にかける耳さえも、ムラッとすると同時に思いきり噛みついてしまいたくなるのだから始末に負えない。

膨らんだ欲望がついに弾けたのは、ある夜のこと。
難しい解体を日に何件もこなして頭も体も疲れ切っているはずなのに、アドレナリンのせいか感覚はずっと鋭敏なままで。
その状態の松田を一人酒で酔っ払った彼女が出迎えたかと思えば、あろうことが戯れるように「がぶー」と首筋に噛みついたのだ。
そりゃもう理性なんて紙屑のように吹っ飛んだし、めちゃくちゃに抱いた。手加減しながらも全身あらゆるところを噛んでやったし、半ばヤケクソに「ずっとこうしたかったんだよ」と明かしてやった。
でも彼女は嫌がるどころか見たこともないほど感じていて、潤んだ目で見つめられながら(あれ?)となる。

どうやら彼女の隠れた性癖を開発してしまったらしく、「嫌か」と聞くと耳まで赤くした彼女がふるふる首を振る姿が見れたので、なんやかんやでハッピーエンド。



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