一足先にワープさせられた伊壱が真っ先に感じたのは、季節を先取りしすぎたかのような暑さだった。 瞬く間に視界から消えた黒い靄が視界から完全になくなると、広がっているのは倒壊した建物や、建物を燃やす業火。リアリティーを追求したのだろう、燃え上がる車だったものが道路上に所々点在している。 「火災エリア……?」 USJに入って来て早々目に映り込んだ瓦礫入りのウォータスライダーや滝の奥にあった、燃え上がる市街地のエリア。ここは恐らくそこだ、と伊壱は察した。 靄の男が言っていた通り伊壱一人だけがこのエリアに飛ばされてしまったのだろう。 周囲に見慣れた面々は誰もいない。代わりにいたのは、とても柄の悪い人間ばかり。 「へへっ、1人たぁカワイソウだねぇ、お坊ちゃん!」 伊壱に一番近い位置にいる男が舌なめずりしながら言うと、それに感化されたかのように嘲笑が伊壱に向けられる。 「暑い……」 「暑いかー? 俺たちにとっちゃそんなこたぁねぇけどな!」 飛ばされてから然程時間が経っていないのに汗が噴き出してくる。右手で乱雑に汗を拭う。 小さな火を吐き出す先ほどとは別の男を始め、伊壱の発言やその様を見てか得意げな顔をするものが多数。どうやらここにいるのは炎熱か或いは暑さに耐性のあるヴィランが集められているらしい。 (エリアのことも把握されている。でも、生徒の情報は恐らくない) 靄の男は伊壱の個性を厄介だと言っていた。だからこそ一人きりの戦闘に仕向けさせた。だが、伊壱を本気で戦闘不能にしたかったのであれば、このやり方は最善とは言えない。 伊壱を本気で殺したければ、水中へ直接ワープさせるか、できなくとも水難エリアの水上に飛ばすかのどちらかをすればいいだけだからだ。 (用意周到かと思ったけど詰めが甘い……。このクラスには轟君や爆豪君を始め実力者がいるのに) 特に今挙げた二人は、もしも飛ばされた先にいるヴィラン達がこのような手合いであるのならば、問題なく倒せるだろう。 ただ問題なのはそれ以外のクラスメイトだ。武に長けているもの、そうでないものがはっきりしている。 ヴィランが狙っているオールマイトを始め、他の教員がいつ来るのかわからない。相手は殺す気でいる。そして緊急事態と言えるこの状況下で、避難を優先するわけにはもういかないだろう。 幸いにして目に見える範囲であの靄の男のような個性持ちがいなさそうなのは、水中にワープされなかったことの次に幸運と言えた。 「これで全員? 少なすぎてアクビが出るよ」 「あ゛ぁ!? それはこっちのセリフだっつーの、タマゴちゃんが!!」 「へっ、たった一人にビビるこたぁねぇ! 全員でやっちまえ!!」 男の言葉を皮切りにして伊壱に向かっていったヴィラン達は、次の瞬間、驚愕することとなる。 「――え……?」 炎によって赤く染まった視界にほんの僅かに青みが入った。しかし、ただそれだけで体に異変はないからと、ヴィラン達は構わずに突っ込んでいく。 たったほんの少し前まで視線の先にいるコスチュームにしては私服の印象の強い、憎きヒーローの卵が届きもしない日本刀をデタラメに振り回すのを見て、男は笑みを隠すことはできそうになかった。 ――奇襲を受けて冷静でいられるはずがない。ガキなら尚更! ――俺一人でも十分なくらいだ! 何故伊壱が単独で現れることになったのか。本当に無意味に武器を振っているように見えたのか。 捨て駒でしかないことにも気付いていないヴィランは、意気揚々と殺すべく個性を使おうと体に力を込めた。しかし、その勢いに反するように突然体のバランスを崩して倒れる。 何かに躓いたわけではない。突然体にどうしようもない違和感を覚えた、としか言いようがないほど、今までの人生で体験したことのない感覚だった。 男は倒れているはずだ。しかし、下半身から伝わる感覚が正しいのであれば、まず間違いなく下半身は未だ立っているはずなのだ。矛盾のようだが、感覚はそう訴えている。 「ど、どうなって……!?」 周囲を見渡した先陣を切っていたヴィランは下半身があるはずの箇所を見て言葉をなくした。 あって当然の下半身が、そこにはない。まるで鋭利な刃物で両断されたかのように、すっぽりと下半身は姿を消していたのだ。 不気味なほど痛みはない。耐え切れない痛みを覚えると痛覚を無くすことがあるというが、それなのか。あまりにもあり得ない現実が、自分の身に起きていることでヴィランの男の混乱は最高潮に達した。 「どうなってんだこれ!!?」 「お、おれの、俺の腕がない!?」 「切られた、切られた!!?」 「足がぁぁ!?」 混乱しているのは先陣を切っていた男だけではない。このエリアにやってきたヴィランは伊壱が一人きりだということも手伝って全員が集まっていたのだが、残念なことにそのことが災いした。 伊壱の個性ことオペオペの実は、人数が多ければ多いほど、相手に与える衝撃は結果として多くなる。 「首は切らなかったんだから、少しは落ち着いてほしいなぁ……。なんか俺がヴィランみたいだ」 「お、お前、俺たちを殺すつもりかよ!?」 「そんなつもりはないけど、敵には容赦するなと教わっててね」 これだけの惨事を起こしておきながら、たった一人で飛ばされてきただけの少年は平然としていた。 “ROOM”の範囲内にいた斬撃が届く範囲のヴィラン全員をバラバラに切った伊壱は滴る汗を拭いながら、確認できる範囲のヴィランが冷静さを取り戻さないうちにと次の技を繰り出す。 「“シャンブルズ”」 範囲内にいたバラバラのパーツ全てを好き勝手に――けれど、逃走用の足は地面に直接くっつけるなどの指定をしつつ混ぜ合わせる。 つまり、どうなるかと言うと。 「お、おれの下半身についたその腕は誰のだ!?」 「俺の腕が足に!?」 「いやぁあ!! アタシの手がこんな不細工に!!?」 「不細工っつったの誰だ!? 俺の自慢の腕どこにいったんだよ!?」 「足が地面についたままジタバタしてんだけど!!?」 人間のパーツをめちゃくちゃにくっつけているのに、不思議なことに生きている。そんな在り得ない現象を引き起こしておきながら、伊壱は微塵も気にしてはいない。 これだけの人数をぶった切るのも、“シャンブルズ”で沢山の生きているパーツをくっつけるのもはじめでの経験だったが、結果としてわかったのは物をくっつけるのと消費する体力という意味において大差ないということだけであった。しかし、絵面はいやに生々しい。 (必要に応じて使う気はあるけど……。改めてみるとやっぱりこれ、一般人には見せられない光景だよなぁ……) 医者になることを目指していることもあって、俗にいうグロい絵面には慣れている伊壱は問題ないのだが、一般人がこんな光景を目にしようものならば、いくら異形系の個性の存在があるとは言っても、トラウマ必至だろう。特に両断するところから見られてしまえば尚更に。 ヴィランであれば容赦なく使いはするが、一般の方々にいらぬトラウマは植え付けたくない。 (なるべく、使うなら一般の人が見ていないところでやろう) 「“タクト”」 改めて決意した伊壱は、更に行動に出る。戦闘不可となったヴィラン達を“タクト”によって頭を互いにぶつけさせて気絶させていく。 まともに動けないヴィラン達は逃げることもできず殆ど全員が気絶していった。 唯一、最後に一人だけ残ったところで“ROOM”を解除した伊壱はその男に近付いていく。 気絶していないヴィランの男――最初に伊壱に話しかけた男だ――は、容赦のない伊壱を恐怖の眼差しで見つめている。 「ひ……っ」 「各地の配置とオールマイト殺害方法について話してもらう」 「は、話す!! 話すから! 勘弁してくれ……!!」 最後に残したヴィランからの情報を聞き出した伊壱はそのヴィランも容赦なく昏倒させた。 「制圧完了」 オールマイトを殺す方法は、生徒を殺すための駒である各地に配備された下っ端程度でしかなかったヴィランたちには知らされていない。首謀者である銀髪の男こと、死柄木と側近的扱いである靄の男しかわからないと言っていた。 「山岳エリアに電波妨害の個性がいて、主犯は広場にいるとなると……」 オールマイトを殺す方法。そんなものが果たしてあるのだろうか。 出口を目指して駆け出した伊壱は念のため個性を温存している。逃走手段に事欠かない靄の男は恐らくは全員を飛ばした後は主犯格の傍に控えている可能性が高い。 あの男にぶった切りは通じない可能性が高いが、“シャンブルズ”によるワープの妨害は可能のはず。 走りながらスマホをポーチから取り出して画面をつけるが電波は未だ圏外。つまり、妨害しているヴィランはまだ見つかっていないか、戦闘不能状態ではないことを指している。 山岳エリアか、広場か。悩んでいるうちに火災エリアから抜け出したのとほぼ同時、水難エリアの方角から轟音がとどろいたのを耳にした。 「……!?」 水難エリアは伊壱がいた火災エリアよりも広場から近い場所にある。 もしかしたらクラスメイトの誰かの攻撃によるものか。それとも、オールマイトを殺す方法による「何か」が待ちきれずに暴れだしているのか。 (くそっ、ごめん、山岳エリアにいる人達!) 無事であることを願いながら、伊壱は山岳エリアではなく水難エリアへ向かって駆け出した。 水難エリアの危機を脱した緑谷達は、目の前の光景に茫然としていた。 孤軍奮闘していた相澤がたった一人のヴィランによって倒されてしまったのだ。 無残に折られた両手、容赦なく地面に叩きつけられた時の鈍い音とともに、鮮血が僅かに散った。 重傷を負ってしまった相澤が僅かな隙をついて個性を主犯格の男に発動していなかったら、蛙吹梅雨は命が仮に助かったのだとしても一生拭えない大きな傷を背負うことになっていたというこの事実。 特に脳が剥き出しの大男に言えるが、それまで対峙していたヴィランとはまるで存在が違う。緑谷が蛙吹を救けるべくパンチを繰り出そうとした、その時、視界が僅かに青くなったことに気付く。 「……なんだぁ?」 「これは……!」 丁度死柄木弔の背後まですっぽり覆われている青い半球状のもの。緑谷たちと、そして、実際に目にしていた靄の男にはそれが何なのか知っていた。 主犯格の男こと死柄木もそのことに気が付いた様子で、緑谷達から視線を外し、周囲を見渡そうとしたその瞬間、彼の視界は一変する。 「は、」 「死柄木弔!!」 注意を促そうとした靄の男の声はあと少しのところで届かない。気付けば死柄木は水上から水中へと落ちていた。 今まで死柄木がいた場所に入れ替わるようにして現れた紺色のドクターコート。その背にある黒い×印に重なる白い十字架マークが緑谷達の視界にはっきりと映り込んだ。 伊壱のデメリット上常に展開しているわけにはいかない“ROOM”を一度解除する。 「状況は……最悪だね」 「げ、げかぁぁぁ!」 「外賀くん!!」 「三人とも無事でよかった。さっきの男のこともある、早く水から上がって」 伊壱の視界に入っていた状況は緑谷達に迫る死柄木の姿と靄の男を含む一部のヴィランの姿のみだった。 ここまで接近してやっと判明したのは、想像以上に事態が深刻化している事実。 殿を務めていた相澤が脳をむき出しにした大男に取り押さえられている。怪我の具合はとてもひどいようだ。早く救けなければ命の危険があるかもしれない。 死柄木が落ちた水場は伊壱が直前に少しでも時間を稼ごうと“ROOM”のあと自分自身に“タクト”を使って操り、ある程度深そうな場所までいったところで今度は死柄木と伊壱とを“シャンブルズ”するという少々の手間をかけた。 とはいえ、死柄木が伊壱のようなカナヅチである可能性は低いと見ていい。案の定、伊壱の指摘を受けて水場から上がった三人の背後から声がかかった。 「やるなぁ、流石はヒーローの卵……少し舐めてたよ。黒霧から聞いてたけど、お前が瞬間移動の個性か」 早くも水面から顔をだしてこちらに向かってくる死柄木。咽ていないということはあの状況下で水を飲まなかったということ。相当な反射神経と状況判断ができる人物らしい。 「黒霧、1人で相手させたんじゃなかったのか?」 「間違いなく1人で相手をさせたのですが……。どうやら彼の個性はただの瞬間移動というわけではなさそうです」 「まぁ、いいけどさ……。脳無、日本刀のガキを殺せ」 端的に告げられた言葉に脳無が相澤を放置して動く。オールマイトに匹敵するほどの素早さを経験していない伊壱にとっては正に予想外のヴィランの存在と言えた。 瞬時に最低限の広さの“ROOM”を展開させた伊壱。幾度か目にしたことのあるオールマイトの速さを彷彿とさせる脳無の動きは一直線に自分へと向かっている。 「……!」 想像以上に速い相手に位置交換技は成立しにくい。何故なら指定した位置から相手がどんどんと移動していってしまうからだ。ある程度の動きを読むことで位置交換を成立させることはできるが、これほどの速さが相手となると今の伊壱には厳しい。 しかしながら、相手が一直線に向かってくれるというのであれば話は別だ。 向かってくる脳無に対して伊壱は日本刀を横一文字に薙いだ。すると上半身、下半身に両断された脳無の体は速度も相まって滑るようにして伊壱の横を倒れていく。 「オイオイ、マジか……! ヒーローの卵にこんなヤツがいるなんてなぁ……!」 人を斬る。それもヒーローの卵とあろうものがやってのけるとは。死柄木はどうせ脳無は再生能力があるからと気楽に構えていたのだが、違和感には直ぐに気付いた。 「……おい、脳無。何故立たない、その程度の傷余裕だろ」 死柄木の命令を実行しようと動く脳無は、しかし、切られた部位が再生されることなくじたばたと動くだけ。伊壱の個性のからくりを知らない死柄木は戸惑うばかりだ。 イレイザーヘッドの仕業かとも考えたが、彼は未だ意識を失っている。つまり超再生の個性を消されているわけではない。そもそも脳無の生命活動は問題なく行われている。 何らかの個性の影響と見るべきだ。 「いったいなんの個性だ……!?」 相手が混乱しているうちにと脳無の上半身を“シャンブルズ”で相澤と入れ替えた伊壱は小さく息を零す。 合間に力を使っていない時間を挟んでいるとはいえ、実践となると生死をかけているせいか少し余分に体力を消耗していることに気付く。が、今はそんなことを気にしている場合ではない。 “ROOM”の範囲をさらに広げ、伊壱は今できる限りの範囲内にいるヴィランと自分達との位置を交換した。 できることならばせめて応急処置をしたかったのだが、状況が状況。そういうわけにもいかないだろう。 「緑谷君、相澤先生をお願い」 「う、うん!」 重傷の相澤を背負ってもらい、少しずつ距離を取っていく伊壱達。しかし、死柄木が飛ばされ、脳無が両断されてからつぶさに観察を続けていた黒霧はあることに気が付いた。 「……私の個性と似ていますね。しかし、それならば対処は容易い」 分断された脳無の上半身を黒い靄が覆われたかと思うと、下半身のもとへワープ。向きを合わされたそれは、まるでパズルのようにぴったりとくっつく。 緩慢に起き上がった脳無は元の体に戻ったことに安堵することも、喜ぶことさえもない。まるで無感動だ。人形のような無機質ささえ感じられる。 「こうも早く気付かれるなんてね」 「あなたの個性の扱い方は私と似ていますからね、気付いてしまえば簡単なことです」 (厄介だな……。あの速さからしてただ切るだけじゃすぐ元に戻されそうだ) “ROOM”を展開して適当なところと交換しようとも、その範囲は恐らくだが黒霧の個性であれば容易に追いつかれてしまうだろう。単純に移動距離という観点から見れば伊壱と黒霧では黒霧に軍配が上がる。 仮に“タクト”を使ったとしても精々足止め程度にしかならず、黒霧のワープの個性がある以上、有効打とは言えない。 (相澤先生たちをここから離さないと……!) 特に相澤は怪我の程度が重い。頭部のダメージがどのような影響を今後与えることになるのか分かったものではない。少しでも早く医者に診てもらわなければ。 焦燥がじりじりと忍び寄ってくる伊壱の心境を見通していたのか、伊壱のすぐ横を小さなブラックホールのようなものが発生していることに気付いたのは彼の背後にいた蛙吹だった。 「外賀ちゃん、横!!」 「!?」 慌てて横を確認するのと、突如現れた黒い穴から誰かの手が生えてくることは同時。気付いた伊壱は咄嗟に日本刀を盾にするように動かす。――それは、悪手だ。 「なっ……!」 伊壱の日本刀が相手に五指全てを使って挟まれたかと思うと急激に腐食したかのようにボロボロと崩されていく。 あっという間に浸食していくそのスピードは、刀身から鯉口、果てには伊壱の手まで浸食する勢いで、伊壱は日本刀を手放す他なかった。地に落ちた日本刀は最後の一片さえも崩れ去ってしまう。 日本刀を崩した手はそのことが目的だったのだろう、即座に引っ込んでいった。 「や、ヤベェよ、これじゃあ外賀のやつもう切れねぇじゃんか……!!」 峰田の絶望に満ちた声が耳朶を打つ。確かに、切れるものがなければぶった切りを行うことはできない。 冷や汗が頬を伝う伊壱を見てか、岸辺に到達した死柄木はずぶ濡れになったことに対してのお返しができることに機嫌をよくしたようだ。 「死柄木弔、恐らくあの少年の瞬間移動のような技は、私のものとは違い交換する対象が必要のようです。脳無を飛ばさなかったことから見るに、あのスピードは対処できないかと」 「……成る程なぁ、チートそうに見えて案外対処は簡単だな」 とはいえ、脳無と黒霧がいなければ面倒な個性であることに変わりはない。真っ先に潰しておくべきかと死柄木が判断する中で、伊壱は“ROOM”を展開していく。 切断する技を使えなくさせた以上、精々飛ばすことくらいしかできないうえに、此方にはワープに関しては上位互換と言える黒霧がいる。形勢逆転とはこのことか、と死柄木は気分が良くなるのを確かに感じていた。 「黒霧、お前はサポートしろ。オールマイトがいない腹癒せには丁度良さそうだ……」 「わかりました」 「やれ、脳無!!」 「外賀くん!!」 指示を出した死柄木の命令を実行すべく脳無は猛スピードで伊壱に接近する。 背後から自身の名前を呼ばれていることに気付きながらも、伊壱は返事をしなかった。 黒霧のサポートは厄介なもので、どこに伊壱が交換しようとしても即座に対応するつもりなのだろう。かといって避けるわけにはいかない。 (タイミングは外せない……!) 「ゲームオーバーだ」 死柄木の楽し気な台詞とともに接近した脳無が、伊壱に向かって拳を振りぬいた。