ムーン・ライジング・フロム・マウンテン・ストーリー[6/6]


 



『追えばよかろう』

「今度は驚かんぞ」


また【邪鬼丸】の中から悪鬼の声がした。


『戦の、命の散る匂いがあの下賎からはする。我が求めしものぞ。うぬの在るべき場所はあちらだ』


くつくつと悪鬼が笑う。


「つまり、私に戦に殴り込めとおっしゃるわけですね、悪鬼サンは」

『気味の悪い話し方、気に食わんな。すでに全裸なれば次は禿にするか』

「ごめんなさいもうしません許してください」


もう全裸だろうが調子にも乗れないのか。


「口調は置いといて、行かなきゃダメですか、戦に」

『行かねばあの下賎、死ぬやも知れぬぞ』


確かにかなり急いでいた。

戦況は明るくないのかもしれない。

自分の知る伊達政宗はキャラクターにしかすぎないが、ついさっき目にした伊達政宗は生きていた。

確かにこの世界に生きている人間だ。

だから死に得る。

そう実感すると途端に心臓が激しく鳴りだす。

自分はいるのだ、あの憬れた世界に。

突き上げてくる衝動はさらに心臓を跳ねさせる。


『行けば良い。うぬを縛る制約は我のみ。守る為だろうと奪う為だろうと、我は命さえ得られればよいのだ』


一歩踏み出す。


『我が与えた力があれば容易い事よ』


もう一歩を。


『言ったであろう?うぬは我に感謝すると』


また一歩。


『思うがままに生きればよいのだ』


そして言葉に背を押されて、背負ってきたものを振り切るように駆け出した。




to be next

- 10 -

|
おにがきたりてTOP
HP
.