ブルー・スピニング・ホイール[3/10]
片倉小十郎の行き場を見失うかに思えた怒りは、何の迷いもなく事の元凶を強襲した。
この時代から見れば桁外れの知識も、まともに読めない古語書体の書類相手では手も足も出ないので、まだ読める雰囲気はある英語で書かれた政宗の蔵書を読んで萩原彰道は時間を潰していた。
城での仕事場に当たる二の丸が一角で、武将と言う新入りには破格ながら実の所仕事らしい仕事も与えられない閑職扱いを受け、伊達軍の恐怖なんだか畏怖なんだか尊敬なんだかわからない視線を一身に浴びていた。
だが今の彰道にはそれは些細な無視するべき事項だった。
むしろ目の端にさえ入っていない瑣末事だ。
小十郎をそらゃもうガッツリ組み敷いて乱れさせ本番まで致した日から、アホの脳ミソに大輪のアホの花が咲き乱れていた。
嫌がり羞恥から気を散らそうとするあまり正気を失う事もできず、かと言って退路を断たれて逃げ出す事もできずに諾々と揺さぶられる屈辱の表情。
小十郎は最後まで殺意を発し続けたが、眼光は現状を享楽する色をみせ、むしろ最後の正気としがみついた怒りが燃えるような快楽を小十郎に与えたふうにすら見えた。
時間さえ定かでなくなる頃には、こちらの肩と言わず耳と言わず食い千切り、虎の爪研ぎばりに爪を立てて背の肉をえぐり、何度も舌を噛み千切られながら喉まで届く口付けをした。
性の交わりではなく殺し合いそのもの。
血の匂いに味に武人である小十郎はさらに興奮して…思い出すだけで身体が熱くなるような一夜だった。
これで小十郎も見事な変態さんである。
自分の変態っぷりは今さらと棚に上げているが、見た目が厳ついので不気味さ3倍増しになっているのに思い至らない萩原彰道の、緩み切って鼻血が伝う頬に小十郎の狙い澄ました鉄拳が突き刺さり顔面を歪めた。
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