ブルー・スピニング・ホイール[5/10]


 



そばにと付けられた小姓とは相性がよくなかったし、殴るためとは言え小十郎が自分の執務室を訪れたのは喜ぶべき事だった。

あの日以来、小十郎は俺を無視し続けたし、政宗は手傷が治っておらず小十郎に強く出られなかったので、情報がまるで入らなかった。

馬鹿丁寧に手を出したとは言え、ご立派な暴れん棒将軍は技術でどうにかなる範囲を超越した質量と推進力を遺憾なく見せつけ、小十郎の強靱な足腰を立たなくさせた。

夜明けと共に眠った小十郎に口付けたのを最後に、俺は小十郎の顔を見ていなかった。

つまりお仕置もまだだったりする。

体力が回復したらバラバラ殺人どころか挽き肉にされて犬の餌にされる覚悟はしていたが、何故か今も含めここ数日の小十郎の行動からは報復の気配がない。

今やっと殴りに来たが、それにしたって八つ当たりのような手加減の効いた一撃だ。


「?」


顎を蹴られて勢いを増した鼻血が畳や着物に落ちないように手で押さえながら体を起こすと、ちょうど小十郎を見上げるアングルになる。

夏の盛りなのにキッチリと着込んだ服がストイックでかなりそそる。

いや、そうじゃなくて。

小十郎が浮かべている複雑な表情にグッときた。

いやいや、そこでもなくて。

若干耳が赤いように見えるのさえ除けばいつもの小十郎だが、やっぱり耳が赤い。


「あー恥ずかしかったのか?会うのが?」


誰が何に何故をすっ飛ばした会話だったが、確かに伝わったようで、みぞおちを踏み抜く小十郎ヤクザキックが肋骨を軋ませた。






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