ブルー・スピニング・ホイール[10/10]
「まだ逝かねぇのか」
「ん、後もうちょい」
小十郎を抱いた時の記憶と、すぐ横で興味なさげに見下ろしてくる小十郎を脳内で繋げて、興奮を煽る。
小十郎の肌は硬かったし、肉付きはむさくるしいまでにごつかったし、畑仕事で色も黒かった。
軟らかい内の肉も、身体を鍛えているおかげで締まっていた。
思うほど小姓とは重ならない。
掴んだ足が痙攣するのとは対照的に一向に達する気配は訪れなかった。
もう呻きしか発さない小姓の口許から泡混じりの唾液が滴っても、一定以上の高ぶりは訪れない。
「てめぇは小姓を抱き潰す気か?」
こめかみの髪を掴まれ耳に流し込まれる脅しの方がずっと腰を重くする。
小さく興奮の息を吐いたのはきっと気取られた。
耳元で周囲には聞こえないよう用心深く囁くだけだった小十郎が、信じられない事に耳を舐め上げてきた。
「うひょ」
「色気もへったくれもねぇな」
がじかじ耳朶を噛まれるだけで、情けないほど、いままで静かだった息子が五月蠅く脈打ち始めた。
髪を引く力が強く、上体を崩して小姓を押し潰しながら腰を振ると、ため息をたっぷりと耳にねじ込まれる。
「とっとと逝け」
頬の血を舐めとられるざらざらした温かさのない感覚に、俺は遠慮なく精を放った。
「ぎ、あ、あ、彰道、様ぁっ!!」
俺をうずめた小姓の尻から納まり切らない大量の精液が、穴がひくつく度に圧力に負けて勢いよく溢れ出す。
「いああ……」
腹が文字通り一杯になる量の鬼の精に耐え切れず、小姓は逝きながら意識を手放した。
萎えた一物を引き抜くと、開きっ放しになった穴から血が混じった白濁が止めどなく溢れ出す。
服が乱れた幼さを残す肢体は、下半身だけを凌辱され、無惨に捨て置かれた。
「あー終ったー」
小十郎の手が放されたので、空しくなって下半身丸出しのまま仰向けに倒れた。
見上げた小十郎の顔は、感情の読めないいつもの仏頂面。
とても人の情事を見ていた、しかも自分も抱かれていた男のする目ではないと思う。
たった二回で慣れたと言うかあばずれたと言うかセフレチックな関係になったと言うか。
「後始末はしておけ」
「はいはい」
身体をもてあそんでメロメロ作戦が、成功したんだかしないんだか──性交はしたけどとか下ネタ的結末になるとはまだまだ下半身の修行が俺には足りなかったらしい。
いつか入れてください萩原様とヒィヒィ啼かせてやる。
部屋を人目をはばかって出ていく小十郎の背を目で追いながら、俺は短冊に書く願いを決めた。
『天覇絶槍(性的な意味で)』
小十郎に見つからない様に、笹の頂にこっそり括ってある短冊に気付く者は幸いにもいなかった。
だが、そのすぐ横に誰の者かは分からない達筆で『絶対服従』と書かれた短冊があった事を知る者もまた、いなかったとさ。
【ブルー・スピニングホイール】
end
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