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「あー犯りてー」
「花街にいけ俺を見るな死ね」
「はは、ひでー」


それは、なんてことのない会話。
あの阿呆は小十郎を捕まえて欲情するとのたまう変態性色情狂であるので、そんなのはなんてことのないやりとりだ。
それこそこれまで何十回何百回と繰り返してきたかもしれない会話。
だけど。
はは、と笑うその声にいつもの張りがないように思えるのは何の魔法だろう。
どんな勘違いだ。
この男が求めるのは肉だ。
肉の愉悦だ。
男なら誰でも良い見境なしだとばかり思っていたら女でも構わなかったことが最近判明した。
まったくもってどうしようもない色情狂だ。
死ねばいい。
むしろ滅べばいい。
ついでこの阿呆がどうやって女を抱くのだろう、なんて考えた己も死んだ方が良い。
これは。
そう、体面上の心配をしただけなのだ、と小十郎は内心誰にともなく言い訳する。
伊達軍の人間がたびたび花街で女を抱き殺しているとなっては問題だから。
そう。
そんな心配をしただけだ。
頑丈さではわりと自信のある小十郎ですら腰が立たなくされてしまうのである。
華奢で柔らかな女など、この男に抱かれたら途中から肉塊と化しているんじゃなかろうか。
想像したらば、大層恐ろしい図になってしまったもので、軽く頭を左右に揺らして追い払う。
そもそも他人の寝所での様子を想像するなど悪趣味にもほどがある。


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