星を掴む馬鹿(久秀)[7/14]
「久秀ぇっ!!」
小太郎の背を追い走るほどに血がけぶり飛び散った。
抜き放った剣先に鎧も肉も骨も区別なく、全てが等しく切り取られる。
同じ切り口をさらしたものを踏み越え、明確な殺意を向けて襲いかかってくる松永軍兵だけを殺す。
一体、誰が味方で誰が敵なのか。
何を味方とし、何を敵とするのか。
混乱をきたした松永軍は反乱者達に立ち向かうか、馬尻に乗って反乱を起こすか迷うような色を見せていた。
さすが松永軍としか言い様がないだろう。
隙あらば寝首を掻き下剋上を狙う者ばかりが集まった集団なものだから、この短時間で──小太郎が気付いてからだが──異常な数の兵卒がひとつの堂を取り囲んでいた。
裏切ったのは、久秀の首を取れば次の大将は自分だとでも思っている思慮の浅い奴ばかりだ、きっと。
こんな野心しか無い連中の頭に、久秀以外がなれるとは到底思えないが。
強慾と研ぎ澄まされた欲とは、炭とダイヤ程に違う。
胃がムカムカした。
「屑が…」
小太郎は迷わない。
ただ、久秀以外の全てを、あるいは反乱に関係ない者まで邪魔とばかりに切り裂いて進む。
相変わらず何を考えているか分からないが、松永軍の事をこの忍が好いているとは、どだい思えなかったが、任務たがえる事だけはないと確信できた。
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