星辰の檻の調べ(元親)[3/7]


 




豊臣落つの報と共に海を渡った元親が、信長と天下取りの算段を話し合った席で、まず確認すべきだと目算を付けたのが、この萩原彰道の居場所だった。

戦国屈指の牙城を切り崩す男が、主を無くしどこに付くのか。

蜂の巣をつついた様にあらゆる草の者が萩原彰道を探し、信長の忍が掻き集めた情報からついに居場所が分かった。

その情報通りに本願寺の南の船町で待ち伏せていた元親の前に現れたのが、この男だったのだ。

あからさまに松永軍の装束を着て、片手に茶釜が入っているらしい木箱を包んだ風呂敷を片手に、四国に出る船を探して、堂々と隠れもせず来たものだから、影武者かと思ったが、身の丈七尺と話半分に聞いていた特徴通りだったので、それはないだろうと思い直した。

何より装束は汚れていないのに、胸糞悪くなるような血臭をまとっていた。

今人を殺してきました、と世間話でもし出しそうな剣呑さと呑気さ。

獅子か虎が人の服を着ている様だと、会った者が口を揃えて言うだけあって、そこにいるだけで当てられそうな覇気が漲っていた。

さすがの元親も声を掛けるのがためらわれたが、話してしまえば、拍子抜けするほどすんなりと男は元親の船に乗った。

長曾我部の紋を隠した、小型だか手漕ぎ衆のわんさと乗った船は、渦の出る域を避けて外海を回っていた。

大潮ともなれば、大型の船でも舵を取られて藻屑と成りかねないのが、鳴門の渦潮の怖さだ。

そんな日に出る渡し船などまず無い。






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