一番星道中記(佐助)[5/5]
微笑ましさと真面目さで慕われている真田の旦那とは真逆の意味合いで萩原は慕われている。
とにかく剣呑でひたすらに不真面目。
にやにや笑ってへらっへら放蕩しているが、その身体から血の臭いが絶えた事は一度としてない。
気に入らない無法者を片っ端から手討ちにし、仇討ち闇討ちも全部抹殺。
戦に出れば旦那の一番駆けを邪魔するような進撃こそしないが、敵さんの土手っ腹をまっ平らにたいらげて上げる首級は誰よりも多い。
毎日なにかしらの騒ぎを起こしているが、手傷を負った事は一度もないらしいのは嫌味にしか聞こえない。
それなのにたまにぼろぼろになっていたりもする。
それはたいがい真田の旦那にこんがり焼かれたからだったり、お館様にしこたま殴られたからだったり、真っ当な神経を持つなら逃げるだろう馬鹿二人に律義に付き合っているからだ。
おかげで真田隊の味方からの被害なる不名誉な項目は報告から姿を消し、たまに被害に会う忍が出ても萩原がすぐに駆け付けて代わりに相手をするので真田隊の消耗は激減した。
この男、敵にも味方にも容赦がないが、気に入った相手には無駄に甘いのだ。
真田隊を助けるのが誰に対する甘やかしなのかは極力考えないようにしているが、そこら辺は武田の家風に合っていると言えるのかもしれない。
滅法強いが得体は知れず、だが、どっか世間知らずでかなりずれていると言うのが真田隊全員の見解だ。
異質過ぎる不吉さはいつまでたっても萩原彰道から消える気配はなかったが、身分も礼儀も知らない無知な男にほだされるように真田隊の忍達は抱き込まれていっていた。
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