拍手ログ(久秀編)[1/5]
【風さやかに】
小太郎→彰道
身体がでかい割に男は狭い場所を好み、それは部屋などに限った事ではなく、服に関しても言えた事らしく、内掛けではなく渡来物のしいつを部屋着にしていた。
貝殻を削った釦で布地を止めるそれは部屋着にするにはとうてい向かないほど男の肌に貼り付いている。
同じく渡来物の袴も脚の形が分かるほど細く、穿くのに難儀しそうであるのに、男は骨を心得ているようで苦もなく穿いている。
そして今、舶来の書物を読している。
男が着こなしている様に違和感はなかった。
滅多に使われる事のない椅子を引っ張り出して、井戸で出来た日陰の中、獣皮の書をめくる。
実際、男がどこから来たのか知らぬ以上、生まれが異国だったとしても不思議はない。
そこだけが景色を切り離したようにその男の色に染まっている。
うららかな昼下がりのさやかな風が長く少し癖のある男の髪を優しく揺らした。
あるいは、それこそが、彼方から吹く異国の風だったのかもしれない。
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