アゲインスト・ザ・サウザンド・ソーズ[8/11]


 



政宗の整った顔が目の前にある。

プライドが高くて、頭を下げてもうつむいて笑っている子供のような、ふてぶてしい面構え。

鋭さが幼さを覆い隠し、背伸びしたわけではない大人の男の匂いがする。

長い睫毛の奥からのぞく片方だけの硝子のような眼。

縦に裂けた瞳孔は興奮で猫のように細くなり、北国らしいきめ細やかな白い肌が怒りに赤く染まる。

食いしばった歯は肉食獣のように鋭いし、すっと通った鼻稜は理想の曲線を描く。

その鼻にかじり付きたい。

歯形を残さないくらいに軽く甘噛みして、敏感なまぶたを舐めて、額にキスしたい。

食いしばった歯が緩むくらいじわじわ追い詰めてやりたい。

肌を怒りじゃなく羞恥や屈辱や欲情が混じった興奮で色付けて、眼帯をはぎ取って何もかもさらけ出させて、縋り付かせて、眼がこぼれ落ちるほどの涙を浮かばせてやりたい。

凶悪な妄想が脳内で暴走する。

腐女子回路が唸りを上げ、薔薇色のよどんだ闘気が身体の隅々まで充実していくのが感じられた。

今までの逃げ腰が嘘のように殺る気が充ち満ちて、政宗を睨み返した。

この美味しい展開を逃してたまるか。


「その勝負受けてやってもいい」


文句を言おうとした政宗の握っていた右腕を放し、剣を持ったままの左手で顎を強引に引き寄せる。


「お前が負けたら俺の言いなりになるって条件ならな」


自分の中のどこからこんなバリバリ攻な台詞が出てくるのか。

政宗がうっかり突いた萌え秘孔のせいで、俺は鬼畜になってしまったらしかった。鬼だけに。



 


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