アゲインスト・ザ・サウザンド・ソーズ[9/11]


 




「お前が負けたら俺の言いなりになるって条件ならな」


びきっ


「テメェ誰に口きいてやがる!!!!」


俺の顎を掴んでいた手がびくっとはねる。

振り返れないが、鬼の形相をした小十郎が放つ殺気が背後から叩き付けられている。


「とっとと政宗様を放しやがれ!!ぶっ殺すぞ!!」


先ほどまでの飢えた表情がなりを潜めた、情けない顔をした萩原彰道が目線を横にずらし、目が合う。


「‥‥逆鱗踏んだ?」


度胸があるかと思えば、妙に肝は小さいらしい。


「びびってんのか?」


顎を掴んだままの手は軽く払いのける事ができた。


「いや、だってメッチャ怖いよ後ろの人。目線で人が殺せるよ。殺し屋の目してるよ。俺を殺す気だよ」

「Ha!あれだけの啖呵切っといて今さら引けると思ってんのか?」


引いたところを小十郎に切られるのが落ちだ。


「その条件飲んだ」

「何を申されるのですか!そんな馬鹿げた条件など飲む必要はありません!」

「ただし、テメェが負けたら俺の軍門に下れ」

「政宗様!」









その条件、勝っても負けても俺にはおいしいんですが。

超ラッキー。


「心配すんな小十郎。こいつは変態だが十二分に使える」

「誰が軍門に下った後の話をしているんですか!」


青筋が三つ四つ立った小十郎はど迫力だ。

政宗を案じてか近付いて来てはいないが、全力で怒鳴り散らしている。

頭にヤのつく自由業で若頭とか呼ばれてても違和感ないよ。


「Ah〜?だったら俺が負けるっつうのか?」


無理に体勢を起こすのを止めた政宗がだらりと肩の上で垂れるが、兜の緒が喉に食い込んで苦しそうだったので、いい加減地面に降ろした。

腰の細さや引き締まった小尻、後ろ側はむき出しな太股が暴れる度に跳ねるのも十分堪能したし。


「あなた一人の身ではないんです!」


説教モードの小十郎に顔をしかめる。

そうするとずいぶん幼い顔になってグッドだ。


「俺はこいつと勝負がしてぇんだ」


唇を尖らせて政宗が言う。

可愛くて俺は悶えそうになるのを堪える。



 


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