ネイキッド・ハード・ギグ[2/30]


 



三方は窓のない土壁、唯一の出入り口は廊下に面した格子にある錠前付の戸だけと言う座敷牢。

朱塗りの頑強な格子の向こうは襖で閉ざされていて、廊下からは一見して座敷牢とは分からない作りになっている。

十二畳間に戸で仕切った一畳の便所が付いている広い座敷牢は、暗さを除けば、十分に生活できるだけの物が揃っていた。

ただ明かりだけがない。

廊下に面した便所に小窓はあるが、格子同様その向こうは襖で、必要があれば廊下から覗けるようになっている。


「昨日の騒ぎが嘘みたいだな」

「酔いつぶれてるからな」


結局あの戦場から伊達の本拠地である青葉城への移動に丸一日かかった。

渡された伊達軍っぽい服(褌はなかった)を着て、小十郎に案内された馬車の荷台で荷物よろしくがちゃがちゃ揺られ続け、日が落ち、月が登り、月が落ち、日が登り、また落ちかけた頃に青葉城がやっと見えた。

それでも話を聞くに近場での戦だったらしい。

だが、本当に驚くべきなのは、その後の伊達軍の行動だった。

居残って城を守っていた兵達がわんさか出てきて、流れ作業で戦の後片付けを始めたかと思うと、城に付くまでに何十台とあった馬車の荷台にひしめいていた荷物は姿を消し、全兵力の1%に満たないだろうが負傷兵も治療所へ移動され、疲れ果てた馬もどこかへ引かれていった。

後に残ったのは寝ていない妙なテンションの兵多数。

それが全てそこらで手当たり次第に開かれた宴会へとなだれ込んだのだから、戦場以上に阿鼻叫喚の地獄絵図が展開されたわけで。

身分が低い足軽は城の周囲にござを敷き、道端で配られる酒を飲み始め、石垣に登る奴や堀に飛び込む奴が遠くからでも確認できた。

これが侍になると部下の足軽を労った後、城の周囲に居を構えている上司の屋敷に招待され、宴会に参加し始める。

その屋敷の主達も、部下の侍を労った後、宴会を抜け出して、城で行われる本当の宴会に参加する。

戦終りでくたくたな所に酒が入って無礼講どころの騒ぎではなかった。



 


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