ネイキッド・ハード・ギグ[18/30]


 



ひたひたと歩く濡縁は生温かった。

夕立にしては遅過ぎる夜長の雨は、空の熱気をたっぷり吸って温い。

冬は苛烈を極める奥州と言えど、夏が暑い事には変わりない。

この暑さが来るからこそ奥州の民は生きていける。

日々土いじりに精を出し、農民と同じく作物の成長を見守る自分だからこそ、日の光がどれほどありがたいものなのか実感しているのだと、小十郎は自負していた。

竜の右目である誇り、武士である誇りと並び、お野菜の友達である誇りが小十郎の中では燦然と輝いていた。

当の独眼竜が知ったら同列に扱われた事に泣くだろう事実を、幸いな事に小十郎は一度も口にした事はなかった。

できるなら今後も口にしない事が奥州のためである。


「水やりの手間が省けたな」


ただでさえ戦と戦明けの事後処理で畑を構ってやれていないのに、加えて政宗の不調で処理が滞った執務が全て小十郎にのしかかっている。

農民出の者に畑番はさせているが、やはり手を入れていないと土に馴染んだ手がうずく。

テメェの女遊びが激しいせいで面倒臭ぇ事になってんだよ馬鹿殿。
ち○ぽが擦り切れたくらいで泣き言言ってんじゃねぇ。

うっかり浮上する地を押し込めて溜め息をつく。

今日は何度溜め息をついたか分からない。

城を抜け出した政宗が何をしていたかは知らないが、恐らくナニだろうと見当はつく。

拾ってきた慶次には貸しが一つできた。

前の前の前に貸してやった金はロハにしてやろう。

仕事終わりに凝った肩を揉みながら、理性が緩んだ物理的に危険な小十郎はそのまま彰道のいる座敷牢へと足を進めた。






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