ネイキッド・ハード・ギグ[19/30]
日の恩恵を受けない座敷牢はしっくいがたっぷり塗られた壁のおかげで涼しかった。
だから全裸になる必要などないだろう。
襖を開けた先で全裸で、しかも大の字に寝ている彰道に一瞬思考が飛ぶ。
思えば戦場でさえ全裸だったのだから、普段も全裸が標準なのかもしれない。そうに違いない。
小十郎は手前勝手に納得した。
まさか彰道が着物で厠の床を掃除しただとか、悪鬼を叩き起こしてわざと全裸にされて身を清めただとかは、想像の範囲にない。
「か────っ」
全開に開いた口から涎と犬歯が溢れている。
歯列は歪みも虫食いもなく、この男の育ちの良さが分かる。
農民出なら砂混じりの雑穀や硬い物ばかりを食べるので歯が磨り減るし、親の目が届かず歯が虫食いで欠けているのが普通だ。
そういった目で観察すると、ますます彰道の異様さが際立った。
どこの殿様だと言いたくなる手入れの行き届いた体をしている。
政宗様より整った不備のない体だ。
鍛えられているのに、鍛えた際につくはずの傷が一つも見つからないのも妙だ。
手には剣だこも手裏剣だこも、爪が剥れた痕もない。
こうあるべしと示されたかのような、完璧過ぎて不自然な体。
作り物めいていると言っていい。
寝ている時でさえ溢れ出す、はち切れんばかりの生気がなければ、人形のように見えるだろうか。
よくできたおっさんの人形に。
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