ネイキッド・ハード・ギグ[20/30]
「ん────」
この警戒心の薄さも気になる。
今朝も部屋に入り声を掛けたが反応はなく、生え際の後退具合が気になって額を撫でたがだらしなく涎を垂らしたままであったし、わざと手の平を踏んでやっと彰道は起きた。
今も部屋に明かりを明々とつけ、見聞のため足を引っ掴んでいるが、まだ起きない。
今まで警戒が不必要な環境にでもいたと言うのか、寝ていてもこの妙な気配はだだもれになっている。
いつでも返り討ちにできる自信…とは縁のない脳天気な気配。
うにうにと足の裏を押すと幼子のように柔らかかった。
砂利を踏めば切れそうな足裏には草鞋さえ辛いだろう。
肌もすね毛はあるが自分と年の頃を同じくするとはとても思えない恨めしい弾力のある水をはじきそうな餅肌。
加齢臭を気にし出した自分とは違う甘くさえ感じる汗の香り。
「まるで餓鬼だな」
言ってみて、自分の胸に自分の言葉がすとんと落ちた。
そう、餓鬼だ。
見た目だけ大人になった幼子。
ふにゃりとした足裏が猫の肉球を思わせる心地よさで、我知らず揉んでいたのに気付いたのは、彰道がくすぐったさにうめいて目をうっすら開けた時だった。
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