ネイキッド・ハード・ギグ[23/30]
妙に足の裏がくすぐったい。
のろのろと薄目を開けると、小十郎が足を掴んでいた。
今は何時だろう。
昼も夜も明るさは変わらず、気温の変化もわからないとなると、現時刻がさっぱり分からなくなる。
「起きたか」
相変わらずのしかめっ面で、あぐらをかいて見下ろしている。
ゆっくりと身を起こすと小十郎が足を離した。
身体についていた傷はもう見当たらず、きゅっと尻の穴が正常に締まる。
悪鬼の言った通り鬼の身体はあの程度の負傷などものともしないらしい。
目指せ男百人斬りとか考えていたので忘れていたが、本来は殺戮百人斬りのための力なわけで、確かに少々の怪我でへこたれていては使い物にならないだろう。
「おはよう」
「もう夜中だ」
「そうなのか」
会話が続かず座敷牢に沈黙が落ちるが、嫌な雰囲気ではない。
ぱたぱたと雨粒が屋根を叩く音が染み渡る静かさ。
「少し話がある」
「ああ」
「勝った時の条件を取り消せ」
やはり小十郎は政宗から昼の事について何も聞かされていないらしい。
うまくごまかしたか、つながりのある事柄として俺が浮かばなかったか。
何にしろ、いきなり手討ちにされる心配がないのは助かった。
「政宗様に、この奥州に直接関係のない条件なら勝とうが負けようが何でも飲んでやる」
「何でも?」
「俺にできる範囲でなら何でもだ。ただし勝っても軍門に下れ。テメェの腕を買いたい」
何でも。
なんとなく予想はできた展開だが、にやにやとした笑みが浮かんでしまう。
「いいよ、勝っても伊達軍に入る。戦はしたかったしね」
「そうか」
笑みを浮かべて言う俺に、目に見えて小十郎の肩には入っていた力が抜ける。
「それと条件だけど、一晩あんたを好きにしたい」
「は?」
「あんたを抱きたいって言ってるんだよ、小十郎」
了承されれば儲けもの、断られてもそれはそれで楽しい事になりそうな、我ながら腐った提案だ。
さてどうでるかな、竜の右目?
わくわくして、固まったしかめっ面を俺は眺めていた。
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