ネイキッド・ハード・ギグ[29/30]
「いいぜ」
「はい?」
下から見上げると血で真っ赤に染まった間抜けな鼻の穴が丸見えだ。
他も丸見えだがな。
「飲んでやる」
「ちょ!」
自分で言っておいて何を慌ててやがるんだか。
「嬉しそうじゃねぇな」
「心底嬉しいです!ありがとう神様仏様片倉様!」
ばっと手を放し虚空を拝み出したので、その隙に身体を引き出した。
「本当に!どういう風の吹き回し!」
「ただし、」
「やっぱ条件つき!」
「テメェがその傷で生きてたらな」
ぱぁっと満面の笑みが浮かんだ。
「根性で治します」
こいつなら治しそうだ。
「治るまでに手ぇ出したら殺す。政宗様に手ぇ出しても殺す」
「…………」
何故か途中で目線を逸らした。
頭を引っ掴んでこちらを向かせる。
「治るまでに手ぇ出したら殺す」
嫌そうに大人しくこちらを見る。
「政宗様に手ぇ出しても殺す」
ふらっと目が泳いだ。
と同時に小十郎の拳が鼻っ柱にめり込んだ。
後退して起き上がった頭を再び掴んだ、力の限り強く。
「テメェ!まさか…っ!」
「誤解だ!俺からは手は出してない!」
俺からは。
俺からはって言ったな、こいつ。
さらに一発殴る。
「殺す。やっぱり殺す。骨の髄まで殺す」
「政宗が突然っ!」
「五月蠅い」
「俺は被害者だぁ!」
「記憶を失え、政宗様のために」
「超理不尽だよ、この主従!知ってたけど!」
会話の合間もがすがすと拳骨で殴る小十郎。
めげずに説得する彰道。
「はは、死ね」
「死にたくないぃ!」
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