ネイキッド・ハード・ギグ[30/30]
しばらくすると拳が痛くなって、一度殴るのを止めた。
「強情なやつだな」
「暗に大人しく死ねって言ってますね」
手を払うと血が飛び散ったが、すでに座敷牢じゅうが血に汚れていて、今落ちた血がどれかなど分からなかった。
打撃の合間に断片的に語られた事実。
ここを訪れた政宗が行った行為。
「政宗に聞けば俺が無実だってわかるから」
「………」
政宗様に聞く。
事実であれ、こいつの出任せであれ、そんな真似ができるわけがない。
「それが真実がどうかなんざ問題じゃねぇ」
多感で傷つきやすい政宗様の心を抉るような真似だけはすまいと、日頃から気をつけていると言うのに。
「テメェはここには存在しないはずだったんだよ」
いつでも始末が付けられるように軟禁したのに、初日でばれた上に、ややこしい事になった。
腹立ち紛れに彰道を蹴倒す。
べしゃっと力なく潰れた彰道の胸を踏み付けた。
「ここで死ぬまで見てて…………?」
おかしい。
足の裏から感じるのは熱い体温と確かな鼓動。
「お前、傷が!」
刺したはずの刀傷が、左胸から忽然と消えていた。
あれだけ深い傷が自然治癒するとは考えられない。
ましてこの短時間でなど。
足を乗せたまま唖然とする小十郎に、へらへらとした笑いで彰道が答える。
「根性で治したよ」
今度は顔面に蹴りがめり込んだ。
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