チェリーブロッサム・タービュランス[2/7]


 



手を出した政宗と、事情を知っている俺と、手込めにされた彰道と、多分何も知らないだろう片倉さん。

知っていてこの場に萩原彰道を出すのは不自然だし、なにより片倉さんなら政宗のために斬り殺しそうだ。

それにしては政宗の反応を無視しているように見えるのは俺の気のせいだろうか。

気に掛けているつもりで政宗をなじっている事のある片倉さんならありえなくもないが。

政宗に下げていた頭を上げて面と向かうが、態度に変化は見られない。

態度が変わらないのは萩原彰道にしてもそうだ。

萩原彰道は話半分に聞いていた噂の通りの男だった。

座っている位置からだと左側が見える。

上背に恵まれた体躯は座っていても周りから頭一つ浮いている。

俺よりでかい奴なんてそうはいないから珍しい。

衿から見える胸元の肉付きは余裕のない絹束並にたっぷりと引き締まっていて、惚れ惚れする。

衣を下から押し上げる厚みのあるこの身体を、政宗が押し倒したのか。

………もしかして趣味悪いのか政宗?

ものすごく男臭いぞこいつ。

薄墨の羽織袴を着こなしているのは着せた者の手腕と体格の良さであるのは間違いない。

姿勢が猫背であちこち皺が寄って着慣れていないのが丸分かりだ。

だが、それでどしりと座っているものだから、わざと崩しているとも取れる。

高く結わえた髪の襟足からうなじに幾筋が毛が流れているが、うなじが太くて女のような色気はない。

きっちりしている髪とは違い髭は不精に伸ばしたまま、袂から出ている手も骨張っていて、爪を切っていない。

じぃっと観察してみるが、男の琴線に触れるような特徴は見当たらない。

顔も整ってはるが、あくまで男としてであって、政宗や幸村のような幼さが手伝った女顔とは程遠く、やはり男臭い。

女にはないものを探して男に走っちゃったのかな、政宗は。

悶々と彰道の顔を見るが、答えが出てくるわけもなかった。

出たとしたら俺も終わる。






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