チェリーブロッサム・タービュランス[3/7]


 



頭を上げると予想通り一つしかない眼を白黒させている政宗様がいた。

器用に片目をくるくると忙しなく回して、見ている方が酔いそうになる動きをさせている。

いつ見ても面白い。

本人は気付いていないが、結構な特技だろう。


だが、それはどうでもいい。


萩原彰道を生かしておくと決めたのは俺の独断だ。

俺が考えていた以上に彰道の存在は特異で異質だった。

心臓を抉ろうが、首を締めようが死なない鬼。

痛みを感じず、恐れを抱かず、戦い続ける存在────らしい。

びびってる顔で言われても説得力ねぇがな。

少なくとも死ににくい体質なのは確かだ。

しかもべらぼうに強い。

鬼らしい怪力と常人ではかなわない反応速度はかなりのもんだ。

性格が助平心丸出しなのはいただけないが。

警戒心の薄さも、大概の状況が危険から程遠いからだと知ってみれば納得できる。

餌さえやれば人死にを出さずに楽に戦ができる。

駄馬や金食い虫なんぞよりはるかに使えるだろう。

だが、その餌が高くつく。

金ならまだ都合がついたんだが。

いや、都合がつかないわけではない。

人知れず嘆息をもらす。

何を好き好んで俺なんかがいいんだ、この間抜け面の馬鹿鬼は。

これだけ男ぶりがよけりゃ女も男も選り取りみどりは間違いないくせに、蓼食う虫も好き好きと言うが、悪食にも程がある。

腕っ節がなけりゃ、今頃俺は畑の横に鬼の首塚をひっそり建立していた。間違いなく。

昨日から癖にしようと決めた、いきなり襲いかかられても反撃できる動きで、小十郎はそっと背後を振り返った。






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