ダーク・アイスクリーム[2/30]


 



「始めっ!!」


きゅっと板間を踏み切ると男達が左右から木刀を振り下ろす。

それを正眼に構えたまま右脚を引いて体を四分の一回転させ、片方をいなし、片方を避ける。

交えた力に木刀を取り落とした男を捨て置き、背後から横薙に切り付けてきた男へさらに半回転して応戦。

後ろへ振り抜く一撃が真っ向から木刀を粉砕し、破片が男をかすめながら壁まで飛び散った。

今度は踏み下ろした左脚で踏み切って、新たに加わった男三人の不意打ちを避ける。

手前で噛み合った三本の木刀が解けて食らい付いてくる。

片手で軽く刺突を流し、空いた手で手首をひっ掴んで一人をぽいと壁へ投げ捨て、さらにもう一人には足払いをかけた後、べしりと蹴りあげて端へ転がす。

ついでに吹っ飛んだ男二人の先にいた二人も巻き添えでダウン。

正面から来た奴は幾分動きが速いが、こちらから仕掛けると見せかけて回り込むと、動きについてこれず空振り。

がら空きになった背中、襟首を刃先で引っ掛けると、軽々と男が木刀の先で宙吊りになった。

そのまま横に振ると、周囲で立ち上がろうとしていた連中が、男の体に薙払われる。

もんどり打って倒れたのは都合7人。

どれも青い服を着た伊達軍の血の気の多そうな奴ばかりだ。


「そこまで……だな」


はぁ、とついた息は重い。

屋敷を覗いていた野次馬伊達兵を捕まえて道場で自主練をしたのが始まりな、この『朝のお勤め』は、自分の思ったような結果が今のところ得られていない。

我こそはと腕自慢な伊達兵達が集まってくるので──暇?──相手には事欠かないが、やはり我流では限界がある。

力技なら今の自分ならどうとでもなるが、技術が必要な物になると、からっきし。

だが、これを習得するまでは政宗との戦いは避け続けるしかない。


「どうしたもんかなー」


適当に櫛で梳いただけの髪をくしゃくしゃと掻く。

そう長く待たせるわけにもいかないし。

どうし────


「なにやってやがんだテメェら!!仕事はどうしたっ!!」


びりっと鼓膜が震える怒声が道場に響き渡った。






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