ダーク・アイスクリーム[5/30]


 



真っ正面から数度打ち合うだけで手首が痺れ始め、舌打ちをした。

こちらから打ち込んでも、緩く握っているようにしか見えない木刀は揺るぎ一つ見せない。

真剣並の重さになるよう鉛を仕込んであると言うのにだ。


「もっと力を抜け。手加減になってないぞ」

「木刀すっぽ抜けそうなんだけど!」

「親指は添えるだけにしろ。小指で支えて、手首で切り返すな」

「難し────っ!!!!」


的確な指南のはずだが、我流できた彰道にはそれでも加減が利かない。


「踏み込みすぎだ」

「一度に言われても!」


足運びは軟らかい。

柔軟な足首が無理な体勢での踏み切りを受け止め切っている。

天賦の才としか言い様のない動き。

惚れ惚れする。

節々は滑らかに駆動し、強靱な腱が肉と骨を一体化させ、しなやかな骨を伸縮に富む筋肉が隙間なく包む。

見た目の歳は変わらないが、身体は次元を異する。

鍛え続けなければ維持する事も叶わず、それ以前にどれだけ研鑚すれば生み出せるかすら想像の外だ。

これが人外ゆえに与えられた身体だとでも言うのか。

この身体を、政宗様は抱いたと言うのか。

唐突にわき出た感情は果たしてどちらに向くものか、瞬時に処理されて心に浮かぶ事はなかったが、隙が生じた。

ぎりぎりの試合には致命的な隙が。






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