ダーク・アイスクリーム[14/30]


 



彰道が笑ったのを見て、俺は刀を納める。


「許してくれるのか?」


小首を傾げても気持ち悪いだけだ。


「誰が許すか」

「あれは政宗が手出したから…」

「だったらなんで拒まねぇっ!!!!」


思わず声を荒げた。

折檻が始まってからあまりに座敷は静かだった。

きんっと音が尾を引く。


「そ、それは…」

「相手が俺だろうが政宗様だろうが関係ない、ただ男が欲しいだけか」

「…っ!!…あばずれ扱いしないでくれよ」


何か言いそうになった言葉を飲み込んだように見えた。


「だったら答えるんだな。鬼は嘘がつけないんじゃなかったのか?」


顎先を黒龍の先で小突く。

観念したように彰道が目を伏せた。


「政宗の事が好きだからだ」

「────てめぇ、俺にもそれを言わなかったか?」

「言った。言ったし、両方事実だ」


口元が引きつった。


「仕方ないだろ!!好きなもんは好きなんだからっ!!」


頭が痛くなってきた。

答える言葉がない。

『俺を好きだっつったのは嘘か!』
────これじゃ俺が惚れてるみたいじゃねぇか

『政宗様を弄んだってわけか』
────明らかに手を出したのは政宗様だ

『どっちが好きかはっきりしろ!』
────却下

『死ね』
────さっきもやった

どれを選んでも、自ら退路を断つような気がする。


「そうか、わかった。てめぇは男狂いの鬼で、男と見れば誰にでも手を出す、と。よし、それでいい」

「いや、何がいいわけ!?ちょっと!天然発動してるだろ!ちゃんと考えた事筋道立てて説明してみろ!どっかで飛躍してるし!」

「俺がそれでいいっつったんだから、それでいいんだよ!!!!」


黒龍でわめく彰道の頭を殴り付けた。


「いいわけあるかぁ────っ!!!!俺でも選ぶわぁ────っ!!!!」


肯定としか取れない叫びに内心安堵した。

蓋をしたばかりの何かを今さら開くつもりはなかったからだ。






- 72 -

|
おにがきたりてTOP
HP
.