ダーク・アイスクリーム[19/30]


 



「………」


慶次の表情は読めたもんじゃなかった。

腫れた頬どころか顔の半分を覆っている湿布と、内出血で青い口元。

霊長類不良目ヤンキー科特有の、喧嘩を売るための触角が他の個体とは別種のスケールで突き出ている頭部。

首から上は別人と言って良い。

こちらに向いている目に浮かんでいるのは警戒色。

刀で叩かれた肘がかなり痺れているのは本気で振りかぶったからだ。

もしかしなくてもヒビくらい入っている力の入れ具合だった。

ちょっとやそっとじゃびくともしない俺でも、今はヤバい。

小十郎のリアル18禁指定、7分割された『俺』殺人未遂事件の後遺症で、あんまし衝撃与えると骨の継ぎ目から腕がもげる。

腕に限らず、あちこちツギハギパッチワークのフランケンシュタイン状態だ。

どことは言わないが、首とか首とか首とか、本気でもげるかと思った。


「あんた、怖い眼をしてるね」


慶次が地面をエグったまま止まっていた超刀を担ぐ仕草で構えるのを、目が自然と追った。


「きっとあんたの魂は蝶になる流儀も知らないんだろうね」






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