ダーク・アイスクリーム[27/30]
慶次の刃は届かなかった。
闇のオーラの中に突っ込んで来たが、すんでの所で邪鬼丸で受け止める事ができた。
金属が軋り、打ち合った所から散る火花。
歯を食いしばって鍔競り合いを演じる慶次の力は凄まじいがじりじりと押し返す。
慶次の身体から俺の闇と同じように吹き出している風は渦巻き、龍巻の形を取っている。
その龍巻が闇の氣を音を立てて削り取って、俺の纏うオーラはどんどん薄くなっていく。
さっき闇の刃を放った時もそうだったが、闇が薄くなるほど悪鬼による支配力が弱くなり身体の自由が戻る。
龍巻のおかげで、右手も動かせるようになった。
片手で握っていた邪鬼丸を両手に握り直すと、俄然力の入り方が違う。
悪鬼の干渉がなくなった今、弱った慶次に負けるわけがない。
「悪いな」
むき身になった邪鬼丸を振って力技で鍔競り合いを解いた。
俺は肩にかかる重い衝撃を難なく受け流すが、同じ力を掛けられた慶次の超刀は刃こぼれさえ起こしながら弾き飛ばされる。
「な…」
上体を浮かせて海老反りになった慶次が信じられないものを見る目で俺を捕らえた。
目も開けられないほどの暴風が髪や服を引っ張るが、旋風の目にいる慶次は解けたリーゼントが少し揺れているだけ。
その無防備になった腹に蹴りを食らわせた。
鎧並に硬い龍巻をぶち抜き擦れた草鞋の裏がめり込んで慶次が超刀に次いで吹き飛ぶ。
一瞬で勝敗は決した。
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