一緒にいたい

金剛お姉様は私にとって憧れの人です。いつも私の見つめる先にはお姉様がいました。
英国帰りということで、少しズレているところが多くはありますが、そんなところもお姉様のチャーミングポイントとして受け取る提督もいるようです。
もちろん、榛名もそんなお姉様が大好きです。

でも、最近お姉様に対して少し羨望の目を向けてしまうのです。
ご存知、金剛お姉様は、提督ラブな艦娘で、榛名の鎮守府の提督との関係も良好なのですが、それを少し羨ましいと感じるようになってしまいました。

霧島に相談したところ、「ふむふむ…榛名は嫉妬をしているのね!」と言われたのですが、榛名にはよくわかりませんでした。

何しろ、生まれてこのかた、戦艦という一隻の艦隊として生きてきて、人間としての体を手に入れこの世に戻ってきたのもつい最近なので、耳にしたことはありますが、俗にいう「恋」というものはよくわかりませんでした。

私は霧島のように頭がよくはないので、悩むのをやめて、行動に移すことにしました。

金剛お姉様に直接話をすることにしたのです。

「お姉様…!」
「Oh〜!榛名〜!どーしたデスか〜?」
「実は…榛名も提督のことが好きみたいで…姉様のようにお近づきしたいのですが…」
「榛名も提督LOVEデスか?ウーン…!さっすがワタシの提督デース!それじゃあ、一緒に提督のところへ行きまショウ!!」
「えっ…あ、ハイ!!」
そういって金剛お姉様榛名の手を引いて提督室へと向かいました。


コンコンコン
「提督〜入るネ〜?」
返事を聞く前にバン!と勢いよくドアを開けた金剛お姉様は、提督の姿が見えるや否や猛烈なスピードで近づき、すかさず後ろから抱きつきました。

さすが高速戦艦…素晴らしいです、お姉様。

「こ…金剛苦し…」
「ホーラ、榛名も来るデース!」
「…はいッ!」
「…ッオイっ…榛名もいるのか!?」
私はお姉様のようにすかさず近づき、ギュッとお姉様も含めて提督を後ろから抱きしめました。

「お前ら…仕事はどうしたんだ…」
「提督の側にいることがワタシの仕事ネ〜」
「榛名も提督のお側にいたいです」

提督に向けられた冷たい視線に対して、ニコッと笑顔を返すと、提督の顔はみるみるのうちに赤く染まっていきました。

「なんだよ、もー…榛名まで…、お前ら可愛すぎか……」

提督は、なにやらぼそぼそと何か言っていましたが、大好きな金剛お姉様と、そして提督とこうして一緒に居られるこの瞬間が、とても幸せだな、と榛名は思いました。




「恋」とか「恋愛」は、まだよくわからないですが、いつまでもこの幸せな日々が続きますようにーー。






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